セールスフォース、「Agentforce 3」を国内提供 AIエージェントの可視性を強化

2025年7月28日、株式会社セールスフォース・ジャパンは、AIエージェントの最新版「Agentforce 3」の日本国内での提供を開始すると発表した。
運用状況の可視化や外部連携機能の強化を特長とし、企業のAI活用を支援する。
AIエージェントの最新版「Agentforce 3」を日本市場で本格展開
セールスフォース・ジャパンは7月28日、AIエージェント「Agentforce 3」の提供を日本国内で開始すると発表した。Agentforceはこれまで、2024年9月に初版をリリースし、同年12月に2.0、2025年3月には開発者向け機能を追加した2dxを展開してきた。
Agentforce 3の主な強化点は三つある。
第一に「完全なる可視性」として、スタジオ内の新機能「コマンドセンター」を通じ、AIエージェントの稼働状況や対話の品質をリアルタイムで可視化できる。提供は2025年10月を予定しており、OpenTelemetry(※)に準拠したログ形式にも今後対応する。
第二に「短期間での価値実現」を掲げ、200以上の業界別アクションをプリセットしている点だ。金融・自動車業界向けのテンプレートなどが用意されており、導入の効率化が期待されている。
ライセンス体系も刷新され、従来の会話単位課金に加えて、月額クレジット制やアクション単位(12円)の料金モデルも用意された。
第三に「オープンな相互運用性」として、外部リソースと安全に接続できるMCP(Model Context Protocol)とネイティブに対応する。ノーコードでMCP準拠の外部サーバーと連携可能となり、拡張性が高められている。
また、パートナー各社が開発したツールを導入できる「AgentExchange」も2025年10月からパイロットとして提供される予定だ。
30社以上の企業が参加を予定しており、導入企業としては富士通やアビームコンサルティング、飯田市立病院などの事例が紹介されている。
※OpenTelemetry:分散システムの挙動監視・分析のためのオープンな標準仕様。
可視性と拡張性で加速するAI導入 活用範囲拡大も課題は残る
Agentforce 3は、AIエージェントの導入と運用のハードルを下げるという点で大きな意義を持つ。
可視化機能の強化により、稼働状況や対話品質を数値的に把握でき、改善プロセスの透明性が高まる点は、AI導入に慎重な企業にとっても評価できる内容だろう。
また、MCP対応による外部連携の柔軟性は、既存システムやクラウド環境との接続を容易にし、業務プロセスにAIを組み込む可能性を広げる。
ノーコード運用も、現場部門での自律的な活用を後押しする要素となり得る。
一方で、可視化や統合連携機能を最大限に活用するには、ログ連携設計や改善サイクルの整備が必要であり、導入初期には技術的支援が不可欠なケースも想定される。可視化されたデータを業務改善に活かすには、社内体制の構築も求められそうだ。
今後、Agentforce 3の普及が進めば、業種や企業規模を問わずAI導入の選択肢が広がるだろう。
関連記事:「飯田市立病院、Salesforce導入で医療DX加速 生成AIと自律型AIを現場実装へ」
https://plus-web3.com/media/latestnews_1000__3540/