ネットプロテクションズ、atoneに生成AI 自動応答で問い合わせ70%即解決

2025年7月22日、ネットプロテクションズは、後払い決済サービス「atone(アトネ)」に生成AIを活用した自動応答機能を導入し、約70%の問い合わせを即時に解決していると発表した。
AIが問い合わせを即時判別し自動応答 解決率は70%に
ネットプロテクションズは、自社が展開する後払い決済サービス「atone」において、問い合わせ対応に生成AIを組み込んだ自動応答機能を実装したと明らかにした。
問い合わせ件数が前年比2倍に急増するなか、特に「不正利用」に関する問い合わせ対応は喫緊の課題となっていた。
こうした背景から、同社はアマゾン ウェブ サービス(AWS)の「Amazon Bedrock」および「AWS Step Functions」を活用し、問い合わせの受信から回答生成・送信までの一連の対応プロセスを自動化した。
CRMシステム「Zendesk」との連携により、AIが問い合わせ内容を解析し、社内マニュアルやFAQをもとに初回回答を即時に生成する仕組みが構築された。
生成された回答はAIが自動で精査し、そのまま送信可能と判断した場合には人手を介さず自動返信が行われる。これにより、緊急性の高い不正利用関連の問い合わせにも、スピーディに対応できる体制が整備されている。
実際に、AIが作成した初回回答によって即時に解決した問い合わせは、全体の約70%に達した。
AI活用で対応の質とスピードを両立 顧客体験の強化にも寄与
ネットプロテクションズは、生成AIの導入によって、顧客対応の質とスピードを両立させるという従来の課題に一つの解を示したと言える。
従来であれば人力で数時間かかっていた初期対応が、AIによって即時化されることは、サポート体験そのものの改善につながっている。
また、対応スタッフの業務負担も大幅に軽減されるため、人的リソースの最適化にもつながるだろう。問い合わせの初動でAIが機能すれば、オペレーターはより複雑な案件や判断が必要なケースに集中できると考えられるため、対応全体の品質が向上する効果が期待できる。
もっとも、こうした効果の一方で、生成AIによる誤回答や対応漏れといったリスクもゼロではない。同社は今後、過去の対応履歴を学習データとして反映させることで、AIの回答精度向上と自動化範囲の拡大を図る構えだ。加えて、FAQの整備など、顧客接点の強化も並行して進めていくとしている。
生成AIによる問い合わせ対応の自動化は、単なる業務効率化にとどまらず、ユーザー体験の質的向上にも直結すると考えられる。
今後は、他のEC決済業者やSaaS企業でも同様の動きが広がるかもしれない。
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