KDDI、高輪ゲートウェイでAI×ロボット活用の街づくり実証を開始

2025年7月24日、通信大手KDDIは東京都港区の高輪ゲートウェイ駅周辺で、AIやロボット技術を活用した街づくりの実証実験を開始した。
生活支援や情報提供などを通じて、利便性の高い都市環境の構築を目指す取り組みとなっている。
ロボットが人を識別し飲料提供や配送を実施
今回の実証では、街を歩く人々の行動や状況をAIが解析し、ロボットがそれに応じた行動をとる仕組みが導入された。
例えば、猛暑日には親子連れを識別し、熱中症対策として飲み物を提供する。また、試供品の配布なども行われる。
加えて、駅直結のオフィスワーカーに向けて、コンビニ商品などをロボットで届ける。
さらに、ユーザーごとの好みに応じて情報を表示するアプリも併用されており、パーソナライズされた都市体験の提供が試みられている。
この取り組みはKDDIが主体となって開発・運営している。同社は、取り組みを通じて都市の多様なデータを収集・解析し、次世代型の街づくりへと反映させたい考えだ。
都市のパーソナライズ化進むも、課題は技術の精度と倫理
今回の試みは、都市機能を人に最適化する「パーソナライズド・シティ」の実現に向けた一歩と位置づけられる。
ロボットによる対人対応は、利便性と効率性の向上に寄与する一方で、プライバシーの保護やAIの識別精度といった課題も孕んでいる。
特に人を識別する機能には顔認識などが活用されるとみられ、個人情報保護の観点から運用方法には慎重な配慮が求められる。
また、AIの判断ミスによる誤配送や対応の不備が発生すれば、利用者の信頼を損なう可能性もある。
それでも、都市生活のQoL(生活の質)向上や業務効率の改善という点で、こうした取り組みが果たす役割は大きい。
今後は、地域住民やオフィス利用者の声を反映しながら、実用レベルでの運用を視野に入れた改良と社会実装が進むことが期待される。