セゾンテクノロジー、HULFT Squareで生成AI向け前処理テンプレート提供

2025年7月23日、株式会社セゾンテクノロジーは、社内データを生成AIのRAG(検索拡張生成)用途として活用するための前処理テンプレート10種を、自社のサービス「HULFT Square」で順次提供開始すると発表した。
データ加工の自動化により、AI導入の効率化と精度向上が期待される。
生成AIが読みやすい形に社内データを自動加工
セゾンテクノロジーは「AI前処理テンプレートシリーズ」と銘打たれたスクリプト群の提供を開始した。
これらは、HULFT Squareのテンプレート機能としてパッケージ化されており、生成AIによるRAG処理に適した形式へのデータ整形を自動的に行う。
HULFT Squareは、オンプレミスやクラウド、SaaSにまたがるデータを連携・加工するiPaaS(※)で、日本発のソリューションとして業務データの一元活用を支援している。
今回提供するテンプレートは、スプレッドシート、マニュアル、スキャンPDF、音声、HTML、画像など、LLMで処理しにくい非構造データを対象とする。
タグや記号の除去、テキスト抽出、構造化、リレーション付与などの操作を行い、AIが処理しやすい形にデータを成型する。
セゾンテクノロジーによれば、本テンプレートの活用により、生成AIが参照可能な形で社内データを加工することで、AIの回答精度を最大90%まで向上できるという。
さらに、データ前処理にかかる工数を50〜60%削減できる見込みで、実務導入のハードルを大きく下げる効果があるとされる。
初回リリースは7月23日で、PDFマニュアルをQA形式のCSVに変換する「AI前処理 PDFからQA表作成」が登場。
8月には、HTMLタグや特殊文字の削除などを行う4種類のテンプレートが追加され、今後も順次拡充される予定だ。
※iPaaS(Integration Platform as a Service):クラウドやオンプレミス上の複数システム・データを一元的に連携させるための統合基盤サービス。データ処理やAPI接続などをノーコードまたはローコードで実装できる。
回答精度向上と工数削減へ 生成AI導入の実務課題に対応
生成AIの活用は業務効率化やナレッジ活用の文脈で注目されているが、その多くが「データ整形の手間」によって実装が遅れるケースが多かった。
今回のテンプレート提供は、こうした課題に対し、現場主導でも扱える実践的なソリューションとして位置づけられる。
一方で、加工テンプレートの汎用性や、特定業務への適合性には引き続き検証が必要であり、業種・業態ごとのカスタマイズが課題となる可能性もある。
ただし、RAGにおける前処理自動化の潮流は今後さらに進むと予測され、同様のサービスやテンプレート提供が他社からも広がることで、企業の生成AI活用は新たなフェーズに入ると考えられる。