東芝テック、企業のAI活用を支援 業務改善に向けた新サービスを2025年度内に提供開始へ

2025年7月23日、東芝テックは企業向けの生成AI活用支援サービスを2025年度中に提供開始すると発表した。
業務課題の抽出からPoC、運用体制の構築まで一貫して支援し、企業の業務効率化とサービス品質向上を後押しする。
東芝テック、企業向け生成AI支援を2025年度中に開始
東芝テックが今回発表したサービスは、参加企業が生成AIの基礎を学びながら、自社の業務課題を抽出し、その解決に向けたAI活用策を検討・実践できる内容となっている。
生成AIに関する基礎知識の講義、日常業務における課題の可視化、AIを活用した解決策の具体化、PoC(実証実験)の実施、運用体制の構築までを一貫して支援する伴走型の仕組みを採用している。
同サービスでは、主に三つの支援形態を取ることが特徴だ。
まず、ワークショップ形式で参加者が業務課題を持ち寄り、生成AIによる解決策を共同で検討する。次に、課題の抽出から実装までのプロセスを段階的にサポートする。そして、現場で直面する課題を起点に実務への応用を促す。
同社はこのサービス提供に先立ち、2025年4月23日に東急ストア向けのワークショップを開催していた。「お客様の声の収集・活用方法」をテーマに、同社11部門と生成AI専門企業が参加し、基礎講義とグループワークを実施。
結果、合計17件の生成AI活用アイデアが創出された。
ワークショップ後、東急ストア内での生成AIチャット利用回数は開催前比で12%増加し、参加者の92%が「生成AI活用への心理的障壁が軽減された」と回答している。
企業の生成AI導入を後押し 実務定着に向けた期待と課題
今回のサービスは、生成AIの導入に慎重な姿勢を見せてきた企業に対し、具体的な導入プロセスを提示することで、活用促進の突破口となる可能性がある。
特に、業務課題を起点としたワークショップ形式は、現場の実感に根ざしたソリューション創出につながるだろう。
また、東急ストア向けワークショップの結果から、学習機会を通じて生成AIへの理解が進むだけでなく、心理的ハードルの低下や業務改善に対する前向きな姿勢も引き出されたことがうかがえる。
これは、単なる技術導入ではなく、企業文化や業務設計そのものに変革を促す兆しとも捉えられる。
一方で、アイデア創出から本格的な実装に至るまでには、データの整備や人材育成、継続的な改善体制の構築といった追加的な課題が存在する。
AI導入を一過性の取り組みに終わらせないためには、企業側の強いコミットメントと全社的な支援体制が不可欠であろう。
今後は、東芝テックによる支援が多業種に拡大し、国内企業における生成AI活用の裾野がさらに広がっていくかが注目されると思われる。