分離課税20%導入の場合、84%が暗号資産投資増額に意欲 日本ブロックチェーン協会が1500人調査の結果を公表

2025年7月18日、一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)は、「暗号資産に関する税制改正要望書」を政府に提出し、併せて全国の20代〜60代1,500人を対象としたアンケート結果を公表した。
現行の総合課税から分離課税へ移行した場合、84%が投資を増やす意向を示している。
JBA、税制改正要望と併せ意識調査結果を公表
JBAは2025年4月24日から25日にかけて、全国の20〜60代の男女1,500名を対象に、暗号資産に関する意識調査を実施した。
性別は男性60%、女性40%。年齢構成では20代が最多の43%を占め、30代21%、40代13%、50代12%、60代11%と続いた。
「ビットコインなどの暗号資産を保有しているか」という問いに対しては、「はい」が13%、「いいえ」が87%という結果だった。
暗号資産保有者191人に「税率が20%になった場合、投資額を増やすか」と尋ねたところ、84%が「はい」と回答した。
また非保有者1,309人に「税率が20%になった場合に購入したいか」と尋ねた設問では、12%が「はい」と回答している。
これにより、税率引き下げによる投資意欲の高まりが見て取れる。
現在、日本では暗号資産の売却益は雑所得として扱われ、住民税を含めると最大55%の税率が課されている。JBAは、申告分離課税(税率20.315%)の適用を求めており、税制面での負担軽減を訴えている。
さらに、申告分離課税と源泉分離課税(※)のどちらを希望するかという設問では、源泉分離課税を希望する声が75%にのぼった。
JBAはこれを踏まえ、特定口座内で完結する取引において課税方式を選択可能とする仕組みを要望に盛り込んでいる。
非保有者に対して「暗号資産を保有しない理由」を尋ねた結果では、「よくわからないから」が最多で61%に達し、「損をしそうだから」38%、「周囲から止められたから」13%、「税金が高いから」8%と続いた。
※源泉分離課税:取引で得た利益に対して、税金が自動で差し引かれ納税が完結する課税方式。投資家による確定申告が不要で、株式取引などに導入されている。
分離課税導入で投資促進か 課題は知識浸透と制度整備
調査結果からは、現行の総合課税に対する不満と、税制変更による投資意欲の高まりが明確に表れている。
税率が20%に引き下げられれば、既存投資家の再投資を促すとともに、新規参入者の拡大にもつながる可能性がある。
特に、源泉分離課税の支持が高かった点は注目に値する。株式やFX取引と同様に、税務処理の簡素化が実現すれば、投資家の負担軽減につながる。
制度が整備されれば、Web3分野の健全な市場形成にも寄与すると考えられる。
一方で、「暗号資産をよくわからない」とする回答が過半数を占めた点からは、税制の簡素化だけでは投資の裾野が広がりにくい現実も浮き彫りとなった。
今後は制度改革と並行して、リテラシー向上や情報提供の強化が求められる。
また、金融庁が現在進めている暗号資産の金融商品取引法への組み込みが実現すれば、規制・課税両面での整合性が高まり、投資環境の透明性も向上すると考えられる。