アマゾン、全プライム会員に詐欺警告 なりすまし被害拡大で2億超アカウントが対象に

2025年7月4日、米アマゾンは、プライム会員を標的とした詐欺行為の急増を受け、世界中の顧客約2億2000万人に警告を発した。
偽の会費通知や電話による個人情報詐取が確認されており、同社は注意喚起とともに対策方法を提示している。
アマゾン、2億超プライム会員に詐欺被害の警告を発出
2025年7月4日、米アマゾンは、プライム会員に対するなりすまし詐欺の増加を受け、世界で約2億2000万人の利用者に向けて注意喚起を行った。
詐欺行為の手口としては、「会費の値上げ」や「不正注文」を装う電子メールや電話連絡が確認されている。
Malwarebytesのマルウェアインテリジェンス研究者であるピーター・アーンツによれば、フィッシングメール内に設置された「購読をキャンセルする」ボタンをクリックすると、アカウント情報が盗まれる危険があるとされている。
こうした詐欺は、プライムデーなどの大規模セール時期を狙って集中的に行われる傾向にある。
また、詐欺メールの中に他の情報源から入手した個人情報が含まれている場合がある点も指摘された。これは正当な通知であるかのように見せかけるためのものであり、ユーザーが疑いを持たずに対応してしまうリスクが高まっている。
アマゾンは、正規の通知かどうかを判断する手段として、モバイルアプリや公式サイトからの確認を推奨しており、二段階認証の設定や、怪しい支払い方法の回避も併せて促している。
巧妙化する手口に要注意 公式手段の徹底が最大の防御策に
今回のアマゾンの警告が示すように、詐欺手口は一層巧妙化しており、見分けることが難しくなっている。
特に、正規の通知を装った文面や、ユーザーの心理に付け込む切迫感の演出が多く確認されている。
このような状況において、ユーザーが正規ルートで情報を確認する習慣を持つことは、詐欺被害を防ぐうえで極めて重要である。
公式アプリや「amazon.co.jp」への直接アクセスを徹底することが、被害を未然に防ぐ第一歩となる。
また、二段階認証の導入は、アカウント乗っ取りのリスクを大きく低減できる。攻撃者がアカウント情報を取得できたとしても、追加の認証手段があることで侵入を防げるため、基本的なセキュリティ対策として定着させるべきだ。
さらに、アマゾンと提携する非営利団体BBB(※)が提供する「BBB詐欺トラッカー」は、過去の詐欺情報を検索・報告できる有効なツールである。
詐欺の被害が疑われる場合、こうした外部リソースの活用も含めた複合的な対策が求められる。
今後もサイバー攻撃の高度化は避けられないが、個々のユーザーがリテラシーを高め、正規の確認手順を習慣化することで、社会全体の被害は大きく抑えられると期待される。
※BBB(Better Business Bureau)米国とカナダで活動する非営利の商業改善団体。企業の信頼性評価や消費者保護を目的に運営されており、「BBB Scam Tracker」にて詐欺情報の検索や報告が可能。