TOKIUM、AIで経費不正を自動検知する「TOKIUM AI経費監査」を提供開始

2025年7月17日、株式会社TOKIUMは、AIが経費精算情報を全件点検し、不正や不適切な申請を自動で検知・報告する新サービス「TOKIUM AI経費監査」を販売開始すると発表した。企業の経費管理を高度化し、既存システムとも連携可能な仕組みを採用している。
経費申請をAIが全件チェック、不正や使い回しも検知
TOKIUMが発表した「TOKIUM AI経費監査」は、経費精算システムに登録されたすべての立替経費申請をAIが点検し、不正または不適切な利用の疑いがある申請を担当者に報告するサービスである。
申請内容の確認対象は、利用日や金額、勘定科目だけでなく、支払先や利用目的、詳細内容にまで及ぶ。AIはその情報を総合的に分析し、経費が適切に使用されたものかどうかを判断。不審な申請については、疑わしい根拠とともに報告される仕組みとなっている。
交通費申請では、記載された移動区間に対して金額の妥当性をAIが検証し、タクシーの過剰請求なども把握しやすくなる。加えて、領収書の使い回しといった過去データに基づく不正も検出可能とされ、企業の監査体制を抜本的に強化できると期待される。
なお、本サービスはTOKIUMが提供するクラウド型経費精算システム「TOKIUM経費精算」に限らず、他社製品の利用企業でも、経費データを共有するだけで導入できるという。あらゆる企業規模に対応しやすい柔軟な設計となっている。
属人化した監査業務をAIで補完 中堅・大手企業に普及の可能性
TOKIUM AI経費監査の導入により、これまで属人的に行われてきた経費監査業務の精度と効率が大きく向上する可能性がある。特に、処理件数の多い中堅・大手企業では、AIによる自動点検が業務負担の軽減につながり、人為的ミスや見逃しのリスクも減ると期待される。
AIは過去の全データを学習しながら点検を行うため、申請の傾向やパターンをもとにした検知が可能である。これにより、意図的な不正だけでなく、ルールに対する誤解や無意識の不適切利用も発見しやすくなる。透明性の高い経費運用が可能になることで、従業員の信頼性向上や組織ガバナンスの強化にもつながる。
一方で、AIの判断基準に対する過信や、申請者側との認識のズレによるトラブルなども懸念される。そのため、AIの検出結果は「補助的な判断材料」として活用し、最終的な判断は人間が行う運用体制が求められる。
今後は、同様の仕組みが経費監査だけにとどまらず、調達管理や労務申請などにも拡大することで、企業の業務監査全体にAI活用が広がる可能性がある。TOKIUMの事例は、経費管理領域におけるAI導入の本格普及を象徴する取り組みと言えるだろう。