両備システムズ、AIでトラック在車状況を自動検知するシステム「IT-Parking for Truck」提供

2025年7月16日、株式会社両備システムズ(岡山市)は、AI画像解析とIPカメラを活用したトラック在車検知システム「IT-Parking for Truck」の提供を開始した。
物流現場の人員配置を最適化し、荷待ち時間の削減と遠隔運用を実現する。
AIでトラックの滞留をリアルタイム検知、物流施設の運営効率化へ
両備システムズが発表した「IT-Parking for Truck」は、物流施設のトラックバース(※)における車両の入出庫状況や滞留時間を、AI画像解析により自動で検知・可視化する新たなシステムである。
IPカメラから取得した映像を解析し、トラックの前面・後面の形状にも対応して正確に識別する。
現在物流業界では、トラックドライバーの荷待ち・荷役時間は1運行あたり2時間以内とする指針が国から示されており、荷主や物流拠点には対応が求められている。
こうした中で、現場では依然として目視や常駐人員による対応が一般的であり、深刻な人手不足が業務効率の妨げとなっていた。
同システムの導入により、バースごとの入出庫履歴や滞留時間をリアルタイムで記録・可視化でき、遠隔地からの一括監視・運用が可能となる。
人手を介さずに満空情報を把握できるため、荷待ち時間の短縮と車両誘導の効率化を同時に実現する。
両備システムズは、これまでオフィスビルや商業施設向けに「IT-Parking」シリーズを展開してきた実績を持ち、今回のシステムで物流分野への本格参入を図る。
今後は、他の物流ソリューション「R-Teams」などと組み合わせ、入退場管理からバース滞留、運用全体の可視化まで一体化したプラットフォームの提供を目指す。
※バース:トラックの荷積み・荷下ろしを行うための車両待機・接車スペース。
無人化と多拠点統合に期待も課題残る
IT-Parking for Truckの導入により、物流施設における現場常駐人員の削減、省人化・無人化の推進が見込まれる。
AI画像解析によって人の判断を必要としない運用が可能となり、複数バースや拠点をまたぐ統合管理にも対応できる点は大きなメリットである。
また、可視化されたデータをもとにしたオペレーションの最適化は、荷主と運送業者双方にとって業務効率の改善に直結する。
現場の混雑緩和やトラック待機時間の削減は、ドライバーの労働環境改善にも寄与するものと考えられる。
一方で、AIによる画像認識の精度やカメラの設置環境により、識別性能にばらつきが生じる可能性もある。
また、設備導入コストや既存システムとの連携性が企業ごとのハードルとなり、導入の普及には段階的な対応が必要となるだろう。
将来的には、防犯用途との連携や完全無人運用への拡張、遠隔地からのマルチ拠点管理といった応用も視野に入る。
物流現場のDXを加速するツールとして、導入企業の拡大と運用データの蓄積が今後の鍵を握ると見られる。