米シャープリンク、ETH保有量が財団超え ステーキング収益化を加速

2025年7月15日、ナスダック上場企業シャープリンク・ゲーミング(SBET)が、仮想通貨イーサリアム(ETH)の保有量においてイーサリアム財団を上回り、世界最大のETH保有企業となったと発表した。
シャープリンク、保有量でイーサリアム財団を上回る
シャープリンク・ゲーミングは、2025年7月13日時点で28万706ETHを保有し、非営利団体であるイーサリアム財団の保有数を超えたと公式に明かした。
同社はこれにより、ETHを主要な財務準備資産とする世界最大の上場企業となった。
保有拡大の背景には、7月7日から13日にかけて実施した7万4,656ETHの追加購入がある。加重平均価格は2,852ドルで、この買い増し資金は同期間中にATM制度(※1)を通じて調達された約4億1,300万ドルの純収益から捻出された。これに伴い、同社は2,457万2,195株の普通株式を新規発行している。
さらにシャープリンクは、6月2日に開始した新たな財務戦略の一環として、ETHのステーキング(※2)を積極的に行っており、これまでに累計415ETHの報酬を得たと報告している。7月11日時点では、保有するETHのうち99.7%をステーキングに回しており、収益性の最大化を追求する姿勢がうかがえる。
アーカムのオンチェーンデータによれば、同社は7月15日朝にも2万4,371ETHを未報告分として追加購入しており、実際の総保有量は約29万4,000ETHに達している。全体の平均取得価格は2,695ドルと見られている。
現時点での含み益は約9,200万ドルに達しており、7月13日時点で同社はさらに約2億5,700万ドルの未投資資金を保有している。
※1 ATM制度:At-the-Market Offering。市場価格で随時株式を売却して資金を調達する方式。従来の一括公募増資と異なり、市場環境に応じて柔軟に発行できる。
※2 ステーキング:暗号資産を一定期間預けることで、ネットワーク運営に貢献し報酬を得る仕組み。主にPoS(プルーフ・オブ・ステーク)型ブロックチェーンで用いられる。
企業による仮想通貨運用が本格化 市場への影響と懸念も
シャープリンクの動きは、企業による仮想通貨の戦略的保有が新たなフェーズに入ったことを象徴している。保有資産の大半をステーキングで運用しながら、追加購入余力も持つ同社の姿勢は、ETHを単なる投機対象ではなく、「デジタル債券」のような収益資産として捉える新しいモデルと言える。
今後も買い増しが継続されれば、ETHの需給バランスに大きく影響を与えるだろう。
一方で、価格変動により、企業財務の安定性に逆風となるリスクは否定できない。
また、イーサリアム財団以上の保有量を一企業が持つことは、ネットワークの健全性や分散性に関する議論も生まれる可能性がある。
企業による大規模ステーキングがガバナンスに及ぼす影響も、今後の注目点となるだろう。