ビットコイン創設者サトシ・ナカモト氏の暗号資産、約19兆円で世界10位圏に

2025年7月14日、ビットコインの価格が史上最高値を更新したことで、ビットコインの創設者とされるサトシ・ナカモト氏の保有資産が約1340億ドル(約19兆4300億円)に到達。
米Forbesのリアルタイム長者番付で世界10位に迫る水準に浮上したことが報じられた。
BTC高騰で創設者ナカモト氏の資産が19兆円超に
ビットコイン(BTC)の価格が7月14日に12万2000ドルを突破し、暗号資産の新たな節目を迎えた。
これにより、ビットコインの創設者とされるサトシ・ナカモト氏の保有する推定110万BTCの評価額が約1340億ドル(1ドル=145円換算で約19兆4300億円)に達したと、複数のブロックチェーン分析サイトが報じた。
ナカモト氏は、2009年のビットコイン公開当初から初期マイニングによって蓄積した資産を保持しているが、2010年以降一度も移動させた形跡はなく、ウォレットは手つかずのままとなっている。
本人は2011年にフォーラムで最後の発言を残して以降、公の場から姿を消している。
Forbesの億万長者リストを見ると、この保有額はデル創業者マイケル・デル氏やウォルマートのロブ・ウォルトン氏の推定純資産を超えており、マイクロソフト元CEOスティーブ・バルマー氏や投資家ウォーレン・バフェット氏にも肉薄する位置にある。
ビットコインは今週、米国でのETF(上場投資信託)への資金流入や、インフレヘッジ手段としての評価に支えられ、価格を大きく押し上げた。
これにより、ナカモト氏の資産額も再び注目を集めることとなった。
ナカモト氏の存在が暗示するもの
ナカモト氏の資産は現時点で一切動いておらず、また現金化の事例も確認されていないことから、形式的・理論的な富に過ぎないと見ることもできる。
だが、その巨大な評価額は、暗号資産が世界経済に与えるインパクトを象徴的に示していると言える。
ナカモト氏の存在は、これまでの資本蓄積モデルとは一線を画す。
会社の設立や上場といった企業活動ではなく、ビットコインのアイデアと実装によって、現在2兆4000億ドル(約348兆円)規模とされる暗号資産市場を創出したのである。
ナカモト氏は従来の企業設立や株式公開といったプロセスを経ず、理念と実装力だけで19兆円相当の評価を得た。
この事実は、中央集権的な金融システムへの依存を減らし、新たな経済的自律性を個人にもたらし得るという可能性を示している。
ただ、開発者本人不在のまま一個人に巨額のデジタル資産が帰属しているという構図は、不透明さも残している。
ナカモト氏の正体は依然として不明なままであり、ナカモト氏のウォレットがいつ、どのような形で市場に影響を与えるか分からない以上、ビットコイン価格の安定性には恒常的な懸念が残る。
仮にこのウォレットが今後も一切動かないままであれば、「最大の未使用資産」として、金融市場の不確実性やデジタル通貨の意義を象徴する存在として語り継がれる可能性がある。