DataRobotが解説 AIエージェントとエージェント型AIの違いと適用領域

2025年7月14日、DataRobot JapanはAIエージェントに関する説明会を開催し、副社長の小川幹雄氏が「AIエージェント」と「エージェント型AI」の違いを詳しく解説した。
企業導入が進む中、役割や導入価値を見極める視点が重要になると強調した。
DataRobot、AIエージェントの構造と活用例を提示
DataRobotのセミナーに登壇した小川幹雄氏は、「AIエージェント」と「エージェント型AI」の用語整理を行い、それぞれの構造と特徴について説明した。
AIエージェントは、生成AIを中心に、RAG(※)や予測AI、外部データ取得ツールなどを組み合わせて動作する仕組みであり、処理手順があらかじめ固定されているのが特徴である。
ユーザーからの質問を受けると、関連データの収集・分析・コード生成・実行までを一連の流れとして自律的にこなす。
これに対し、エージェント型AIは処理フロー自体をAIが判断し、必要なツールとその使用順序を都度選択できる点が異なる。
質問内容の解釈から適切な予測モデルの選定、テーブル構造の分析、ヘルプ参照までを状況に応じて組み合わせるなど、柔軟性が高いのが特徴だ。
小川氏は、エージェント型AIが多様なツールを装備し、複雑な業務処理を実現する点でAIエージェントよりも高度な機能を有する一方、使用ツールや順序が固定されるケースでは両者の挙動に大きな差が出ないこともあると補足した。
※RAG(Retrieval-Augmented Generation):生成AIに情報検索機能を組み合わせ、外部知識を参照しながら回答精度を高める技術。
導入には価値と文脈の見極めが不可欠
AIエージェントやエージェント型AIの進化は、業務の効率化や自動化に大きく貢献し得るが、導入には「何を目的とするのか」「どの業務領域に導入すべきか」という明確な判断が求められると言える。
定型的な反復作業に対しては、RPAやBIツールといった既存の手段でも十分対応可能であり、エージェント型AIの活用が必ずしも最適とは限らない。
また、ユーザー体験が重視される業務や、感情的価値が大きな要素を占める領域では、機械的な対応が期待外れとなる可能性もあるだろう。
自動化が実現しても、体験価値やブランドイメージに与える影響を慎重に見極める必要がある。
さらに、AIエージェントによって業務の対象範囲が広がったとしても、外部から見た変化が小さく、効果が可視化されにくい点も課題になると思われる。導入の成否は、技術の先進性ではなく、業務全体への実質的なインパクトで測られるべきである。
今後、AIエージェントを活用する企業は、「万能な解決策」としてではなく、既存ツールとの適切なすみ分けと役割整理のうえで、その価値を最大化する戦略的思考が求められるだろう。