NTT-AT、WinActor新版を発表 生成AIで非定型業務を自動化

2025年7月10日、NTTアドバンステクノロジ株式会社(NTT-AT)は、RPAツール「WinActor」の最新版「Ver.7.6.0」を発売すると発表した。
生成AIとの連携を強化し、画像認識やシナリオ作成支援機能を拡充することで、非定型業務を含む業務自動化の幅を広げる狙いだ。
生成AI連携と運用支援でWinActorが大幅進化
2025年7月10日、NTT-ATは、純国産のRPA(※)ツール「WinActor」の最新版「Ver.7.6.0」を7月17日に販売開始すると発表した。今バージョンでは、生成AIとの連携強化が大きな柱となっており、非定型な業務の自動化にも対応可能になった。
特に注目できるのは、画像認識AIと生成AIの連動機能である。
ユーザーは生成AIに対して指示を出すことで、画像データの内容を理解・抽出し、その情報をExcelへ転記したり業務システムへ入力する作業を自動化できる。
従来、定型業務に強みを持っていたRPAが、視覚情報を扱う領域にまで対応範囲が拡大された形だ。
さらに、生成AIによる「シナリオのひな形生成機能」も改善される。
ユーザーとの対話を通じて、AIが作成したシナリオの雛形を柔軟に編集できるようになり、初心者でも簡単に自動化シナリオを構築できるようになる。
また、複数のシナリオ間で差分を色分け表示する新機能が搭載され、修正点の把握や確認作業の効率化が期待される。
加えて、環境依存箇所や不要設定をチェックするフォーマットチェック機能も追加され、保守運用性の向上も図られた。
価格は、端末固定型の「ノードロック版」がフル機能で109万8680円(税込)、実行専用で30万80円(税込)。複数端末で利用可能な「フローティングライセンス版」はオープン価格となっている。
※RPA(Robotic Process Automation):人間がパソコン上で行う業務手順をソフトウェアロボットが模倣・自動化する技術。定型業務の効率化に用いられる。
生成AI連携でRPAの適用領域が拡大 導入のハードルも低下か
今回のアップデートは、RPA活用の幅を「定型業務」から「非定型業務」へと広げる可能性を示している。
特に画像情報の読み取りや自然言語での指示入力が可能となったことで、従来は手動対応が必要だった業務フローにも自動化の選択肢が生まれたことや、AIによるシナリオ作成支援機能の強化は、RPAの導入ハードルを下げる効果が見込まれる。
これまで自動化シナリオの設計には一定の専門知識が必要とされていたが、生成AIの活用により、非技術者によるシナリオ作成も現実的になってきた。
一方で、生成AIの判断や抽出結果の精度には依然として課題も残る。特に業務において厳密なルールや正確性が求められる場面では、人的チェックとの併用が当面は必要となるだろう。
今後、WinActorのようなRPAツールが生成AIとシームレスに連携していくことで、業務自動化は単なる効率化にとどまらず、業務そのものの再設計や柔軟化へと進化していく可能性がある。
AI時代における業務改革の一手として、企業のRPA導入戦略が再び注目を集めそうだ。