コインベース、Perplexity AIと提携 リアルタイムの暗号資産AI検索を実現へ

2025年7月9日、米暗号資産取引所大手のコインベースはAI検索スタートアップのPerplexity AIとの提携を発表した。取引データをリアルタイムにAIへ統合することでトレーダーが迅速な意思決定を行える環境を整える。
AI検索にリアルタイムの暗号資産情報を統合
コインベースとPerplexity AIはリアルタイムで信頼性の高い暗号資産市場データを提供するための提携を開始した。発表によれば、コインベースの市場データがPerplexityのAI検索プラットフォーム「Cometブラウザ」に統合され、ユーザーは自然言語ベースで市場情報を検索・分析できるようになる。
この取り組みについて、コインベースのCEOであるブライアン・アームストロング氏は「フェーズ1」と位置づけており、初期段階では価格動向の把握やトークン情報の確認など基本的な市場分析が対象となる。
ユーザーは従来の検索エンジンでは得られなかったリアルタイムのインターフェースを通じて、より直感的に市場を読み解くことが可能になる。
次の段階では、コインベースのデータをPerplexityの対話型AIへ直接組み込むことが予定されている。これによりユーザーは、自然言語による質問の回答をリアルタイムで得ることが可能になる。
本提携の背景には、暗号資産が株式などと同様に「主流の投資対象」として検索される頻度が増している現状がある。Perplexityの検索データによれば、暗号資産に関する情報を求めるユーザー数は、株式に関する検索と同程度にまで拡大しているという。
今後の展望、AIと暗号資産の融合が加速か
今回の提携は、単なるデータ統合にとどまらない、将来的な「対話型AIによる取引支援」への布石とも読み取れる。
アームストロング氏は「暗号資産機能の強化は、AIがさらに10倍の飛躍を達成するためのきっかけとなるだろう」との見方を示しており、「暗号資産ウォレットがLLM(大規模言語モデル)に完全に統合される日が来ることを最も楽しみにしている。」と語っている。
両者の技術的な親和性は高いと思われるが、現時点では相互補完的な成功事例が少ないのが実情だ。今回のように大手企業が先導してリアルタイムデータの提供とUXの改善を進めることで、投資家の裾野が広がる可能性もある。
なお、発表当日のコインベース株は約1%下落し、終値は370.60ドルとなった。
短期的な株価反応は限定的だが、中長期ではAI統合による競争力強化への期待が高まるとみられる。