板橋区、DX加速で「CAT.AI」導入 対話型AIが区民サービスを革新

2025年7月9日、東京都板橋区はAIコミュニケーションプラットフォーム「CAT.AI」を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)推進策を発表した。
板橋区、AI活用で24時間対応の行政サービスへ
板橋区は、行政サービスのデジタル化を進める「DX推進計画」の一環として、トゥモロー・ネットのAIソリューション「CAT.AI」を導入する。これにより、従来の電話対応やWebでの案内業務を対話型AIに置き換え、区民の利便性向上と職員の業務負荷軽減を図る。
戸籍住民課の電話窓口には「CAT.AI CX-Bot」が採用される予定である。
CX-Botとは、ボイスボットとチャットボットを組み合わせたAIエージェントであり、1回の問い合わせで音声とテキストの両方による案内が可能だ。たとえば、音声で伝わりにくい情報はスマートフォン画面で視認できる。
本格運用は2025年10月からを予定している。
さらに、2025年8月からは広聴広報課が管理する区公式ホームページ上で「CAT.AI GEN-Bot」の実証実験が予定されている。
GEN-Botは、生成AIを活用して区民からの問い合わせに最適な回答を提示する仕組みだ。特に、ごみ・リサイクル案内といった日常的な質問への応答に強みを発揮し、Webサイト上の情報を活用した対話が可能になる。
自治体DXの先駆け AI導入がもたらす期待と課題
板橋区による「CAT.AI」の導入は、自治体DXにおける新たな試みとして注目できる。
CX-Bot最大のメリットは、24時間対応の行政サービスを実現し、区民の利便性を飛躍的に高める点にある。ボイスボットとチャットボットを組み合わせることにより、電話応対の負担軽減と、窓口職員の業務効率化を同時に実現する可能性が高い。これにより、職員は対面でのサービス提供に注力できるだろう。
また、GEN-Botの生成AIはWebサイト情報の即時活用が可能であるため、日常的な問い合わせへの迅速な対応が期待できる。
一方で、デメリットとしては、AIの回答精度への懸念がある。
生成AIは大量データを基に応答を生成するため、情報が古い場合や更新が遅れる場合に誤案内が生じるリスクが拭えない。
また、高度なAIシステムはサイバー攻撃の標的となりやすいため、セキュリティ面の強化が不可欠である。加えて、高齢者やデジタルリテラシーの低い区民がAI窓口に適応できるかという課題も見逃せないだろう。