OpenAIアルトマン氏、メタCEOと対面に前向き AI人材引き抜きから初接触

米OpenAIのサム・アルトマンCEOが、米メタのマーク・ザッカーバーグCEOとの対面について「楽しみにしている」と語ったことが、2025年7月9日(日本時間)、米ブルームバーグにより報じられた。両者は米アイダホ州サンバレーでの会議で顔を合わせる見通しで、メタによる人材引き抜き騒動後初となる。
アルトマン氏、人材引き抜き騒動後の対話に前向き
米OpenAIのサム・アルトマンCEOは、今週アイダホ州サンバレーで開催される会議に出席予定で、報道内容は、7月8日(現地時間)に同氏がアイダホ州で開催のアレン・アンド・カンパニーのイベント到着時、記者団の取材に応じた際のものだ。
アルトマン氏はブルームバーグの取材に対し、メタのマーク・ザッカーバーグCEOとまだ話していないが、今週会えるのを「楽しみにしている」と述べたという。
背景には、OpenAIの主要エンジニア数名がメタに移籍した一連の引き抜き騒動がある。アルトマン氏は、メタが一部の人材に最大1億ドルの報酬を提示していたと明かしていた。
その一方で、同氏はOpenAIの人材保持戦略について、素晴らしいミッションと才能あふれる人材、優れた研究所と会社を築こうとする努力に言及した。
また、アルトマン氏の政治的スタンスにも注目が集まっている。従来は民主党支持を公言していた同氏だが、(主流派の民主党員たちに対して)「自分の代表ともはや感じられない」と明言。
トランプ政権との関係についても「とても良好だ」と説明し、「AIインフラの整備、この分野での米国の成功に間違いなく関心を持っており、建設的だ」と評価するなど、柔軟な姿勢を見せている。
引き抜き騒動の中での対話 緊張緩和と業界秩序の再構築なるか
OpenAIの中核人材がメタ・プラットフォームズに引き抜かれた件は、AI業界における人材争奪戦の熾烈さを象徴する出来事となった。特に、提示された報酬額が最大1億ドルとされる点からも、企業間の競争が激化の一途をたどっていることがうかがえる。
そうした緊張関係の中において、OpenAIのサム・アルトマン氏がザッカーバーグ氏との面会を前向きに捉えている点は注目に値する。形式的な対面にとどまらず、業界全体の秩序形成や人材流動性に関する暗黙のルールづくりを模索する可能性も出てくるかもしれない。
AI研究の高度化が進む中で、少数のトップエンジニアの動向が企業の競争力を左右する構図は明確になりつつある。そのため、今回の会談が緊張緩和だけでなく、業界の信頼構築や相互理解の一歩となるかが注視される。
AI産業の中心にいる企業同士が、対立から協調へと一歩踏み出せるかどうかは、今後の業界全体の競争環境やイノベーションのスピードにも影響を及ぼすだろう。