クラウドエース実態調査 ゲーム開発エンジニアの77%が生成AI活用

2025年7月9日、クラウドサービス支援を行うクラウドエース(東京都千代田区)は、ゲーム開発企業のエンジニア102人を対象にした生成AIの利用実態調査を公表した。
「すでに活用している」との回答が77.0%を占め、開発現場でのAI浸透が明らかになった。
生成AI、開発現場の多領域に進出 アイデア創出や音楽生成にも
クラウドエースが実施した今回の調査は、6月6日から9日までの期間、インターネット上で行われたものだ。
対象はゲーム関連企業に所属するエンジニア102人で、うち77.0%が「生成AIを業務に活用している」と回答。これは単なる実験的利用を超え、すでに実務での導入が進んでいることを示している。
利用用途として最も多かったのは「コード生成・プログラミング支援」で、回答者の過半数である51.9%が活用していた。次に多かったのは「キャラクターやシナリオの構想・アイデア出し」(41.6%)で、創作の初期段階でもAIが頼られている様子がうかがえる。
他にも「アセットの生成」(37.7%)や「音楽・サウンド生成」(31.2%)といった視覚・聴覚的な要素への応用も広がっており、AIの活用範囲は技術領域にとどまらず、表現・演出面にも及んでいる。
クラウドエースは「単なる作業効率化だけでなく、クリエイティブな領域においてもAIが重要な役割を担いはじめている」と分析している。
一方で「生成AIを利用していない」と答えたのは18.0%にとどまった。
残る5.0%は「分からない」または「答えられない」としており、導入の可否に迷いがある層も一定数存在するとみられる。
利用していない理由としては、業務内容がAIと親和性の低い分野であることや、ツール選定の判断材料が不足している可能性が考えられる。
創造性の支援か、品質リスクか 生成AI導入に残る課題と展望
生成AIがゲーム開発現場で本格的に活用されつつある一方で、課題も浮き彫りになっている。
調査で最も多く挙がった懸念は「生成結果の精度や品質の不安定さ」(51.9%)で、期待通りのアウトプットが得られないことへの不満が根強い様子だ。
また、「社内ルールやガイドラインの未整備」(41.6%)、「セキュリティやプライバシーに対する不安」(同)も同程度に多く、AI導入に際しての制度設計やガバナンス構築の遅れがボトルネックとなっていると思われる。
高度な生成AIを活用するためには相応のインフラが必要となるため、大手と中小で導入格差が広がる可能性も考えられる。
さらに「高度なAIモデルを実行するためのインフラコスト」(32.5%)が負担となる現場もあるようで、技術力だけでなく、資金力も導入可否を左右する要因となっていそうだ。
自由回答では、著作権やIP(知的財産)をめぐる問題への言及も目立った。
生成されたキャラクターや楽曲の権利帰属が曖昧な場合、商用化に支障をきたすリスクがある。開発者の間でも、こうした警戒感が高まっていると推測できる。
今後は、生成AIの能力を活かしつつ、品質や倫理の観点から運用ルールを整備していくことが求められるだろう。
創造性の支援ツールとしてAIが定着すれば、ゲーム業界におけるアイデア創出のハードルは一段と下がり、少人数開発やインディー作品の飛躍にもつながる可能性がある。
関連記事
働く女性の生成AI利用が急増 2年で利用率2倍超、職種間の差も顕著に
https://plus-web3.com/media/latestnews_1000_4006/