サイボウズが研修資料19種を無料公開 新卒向けAI・DevOps教材を一般開放

2025年7月8日、国内ソフトウェア企業のサイボウズが、新卒エンジニア向けに実施した研修資料の一部を一般公開した。AI活用やDevOps、セキュリティ分野を含む19種類の教材が無料で閲覧可能となっている。
生成AIやセキュリティなど多様な分野の教材を公開
サイボウズは、自社の2025年度新入社員研修で使用した技術教材のうち、19種類の資料を公式サイト上で無償公開した。対象は新卒エンジニア向けで、実際の研修に使われた内容をそのまま提供している点が特徴だ。
資料は「AIツール開発ワークショップ(Dify)(※1)」「GitHub Copilot(※2)活用」「Docker入門」「モバイル」など、AIやクラウドネイティブ開発に関するものから、「ソフトウェアライセンス」「テクニカルライティング」「セキュリティ」「自動テスト」など基礎的な技術領域まで幅広い。全体で15分野に渡り、ソフトウェア開発の実務に直結する内容となっている。
今回の公開には、サイボウズが掲げる「自社と自身を理解すること」や「成長するための力をつけること」という方針が反映されている。
同社は配属直後の業務適応にとどまらず、1年後にチームや組織に貢献できるようになること、さらには長期的なキャリア形成に必要な素地を養うことを研修の目的に据えている。
なお、同社は例年、研修資料の一部を社外にも公開している。
※1 Dify:生成AIをアプリに組み込むためのオープンソースプラットフォーム。会話型UIやRAG(検索拡張生成)などを手軽に実装できる。
※2 GitHub Copilot:GitHubとOpenAIが共同開発したAIコード補完ツール。IDE(統合開発環境)上でコードの予測・提案を行う。
エンジニア育成の土台に 公開資料が企業教育にも波及か
エンジニア教育に関するコンテンツの整備は、多くの企業が抱える課題でもある。
今回のような教材の一般公開は、他社の研修設計や教育制度の参考にもなり得るだろう。特に中小企業やスタートアップにとっては、実務に即した教育資料を無料で活用できる点が大きなメリットになると思われる。
今後もサイボウズのような知見共有の動きが広がれば、エンジニア教育のハードルは一層下がり、業界全体のスキルレベル底上げにつながる可能性がある。