三菱UFJ・ドコモ採用の米Auxia、日本法人を設立 AIエージェントでマーケ施策を革新

米AI企業Auxia(オクシア)は、日本法人「Auxia Japan」の設立を2025年7月4日に発表した。同社は三菱UFJ銀行、NTTドコモ、メルカリが導入するAIエージェント型マーケティングプラットフォームを展開し、日本市場への本格参入を開始する。
Auxia、日本市場に本格参入 三菱UFJで効果実証
Auxiaは2022年に米カリフォルニア州で創業されたAIエージェント企業である。
GoogleやMeta出身のエンジニアが開発した同社のプラットフォームは、従来のA/Bテスト(※)の限界を超え、数百パターンのマーケティング施策を同時にAIが最適化する仕組みを持つ。
日本法人「Auxia Japan」の代表取締役には元Googleの吉嗣浩隆氏が就任。
米国外初の拠点として日本を選んだ理由について、CEOのサンディープ・メノン氏は「日本はビジネスリーダーも政府もAI活用に特に熱心だ。」また、「日本の顧客サービスへの期待値は非常に高い。」と語った。
三菱UFJ銀行の資産形成アプリ「Money Canvas」の実証では、Auxia導入後にアカウント登録率が9.6%向上した。AIは毎日150万件超の意思決定を自動実行し、180個以上のクリエイティブを検証して最適解を導き出した。
この結果、開発・検証のスピードとコスト効率が大幅に改善している。
NTTドコモやメルカリもAuxiaを採用しているが、詳細な成果は非公開だ。
※A/Bテスト:マーケティングで異なる2パターンの施策を比較し、効果を検証する手法。
AIが変えるマーケの現場 Auxiaのメリットと課題
AuxiaのAIエージェント型マーケティングプラットフォームには、複数のメリットが存在すると考えられる。
最大の強みは、従来のA/Bテストの枠を超え、数百パターンのマーケティング施策を同時に最適化できる点だ。これにより、開発・検証プロセスの効率化が進み、企業は短期間で高い効果を得られるようになるだろう。
実際に、三菱UFJ銀行の事例では定量的な成果が示されている。自然言語による指示や提案機能により、マーケターの負担軽減と意思決定の迅速化が実現されている点も見逃せない。
一方で、課題も少なくない。
AIがマーケティング施策を自動的に決定するため、その意思決定過程の透明性に対する懸念が浮上する可能性がある。
また、日本市場特有の文化や消費者心理への適応にはローカライズが不可欠であると考えられるため、ローカライズが最適におこなわれない場合は、十分な成果を出し切れないリスクもあるだろう。