日本のAI活用に遅れ 総務省が情報通信白書で実態を公表

2025年7月8日、総務省は2025年版「情報通信白書」を発表した。
これにより生成AIの利用経験や企業の導入意向において、日本は主要国と比べて大きく後れを取っている実態が浮き彫りとなった。
生成AI利用率、日本は主要国に大きく後れ
総務省が公表した情報通信白書によれば、2024年度に生成AIを「利用したことがある」と回答した日本人は26.7%で前年から約3倍に増加した。一見すると急速な普及に見えるが、国際的な比較では依然として低水準にとどまっている。
中国では8割を超える81.2%、アメリカでは68.8%、ドイツでも59.2%と各国で高い普及率が示された。
企業レベルでも同様の傾向が見られ、日本では生成AIを「導入済みまたは導入予定」とした企業が約半数にとどまる一方、中国では9割超、アメリカでも8割以上が導入の方針を明らかにしている。
また、デジタル関連のサービスや機器などの貿易赤字額は2024年時点で6兆7000億円に達しており、過去5年でほぼ倍増していることも示された。
白書では、デジタル技術の導入・活用の遅れが経済成長の制約要因となりかねないと警鐘が鳴らされている。
AI導入の遅れが国内に与える影響
本件で特に懸念されるのは、デジタル関連サービスの収支悪化だろう。
日本国内での技術開発・サービス提供力が不十分であることに伴い、海外のサービスに依存する構造が深刻化していると言える。
AI導入の遅れが深刻化する中で、今後の日本に求められるのは「選択と集中」の明確化であろう。
すべての分野に横並びでAIを適用しようとするのではなく、人口減少や高齢化、インフラの老朽化、医療・介護や災害対策などといった「日本固有の社会課題」に照準を合わせた重点的な導入がカギを握ると考えられる。
成功事例を交えた国民の理解促進施策が急務となりそうだ。
総じて、現状を巻き返すには、官民一体の危機感と戦略的な施策の推進が必要であると言える。今は、今後10年の競争力を左右する正念場かもしれない。
参考:総務省「情報通信白書令和7年版 概要」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/summary/summary01.pdf