バクラク経費精算がAIで進化 リアルタイム申請レビュー機能を正式提供開始

2025年7月7日、株式会社LayerXは国内向けクラウド型経費精算サービス「バクラク経費精算」において、申請内容をリアルタイムでレビューするAI機能「AI申請レビュー」を提供開始したと発表した。経費申請のミス削減と承認プロセスの迅速化が期待される。
経費申請をAIが即時チェック 新機能で差し戻しの大幅削減へ
今回のアップデートでは、経費申請の作成中にAIが自動的に内容を確認し、その場でフィードバックを提示する「AI申請レビュー」機能が追加された。
このAIエージェントは社内規定や過去の申請データを基に構築されたルールに従い、申請書の妥当性や記載内容の不備を即座に指摘する。
これまでのバクラク経費精算は、AI-OCR(※)や自動科目推薦などの技術を用いて経費精算の効率化を推進してきたが、申請内容の正確性の担保は申請者や承認者の確認に依存していた。
そのため、ルールの理解不足や確認漏れによる誤申請が頻繁に発生し、差し戻しや再申請が繰り返されるケースも少なくなかった。
新機能の最大の特長は、未入力項目へのガイド表示や、誤った記載に対する具体的な修正案提示が可能である点にある。これにより、申請者はその場で修正対応ができ、申請精度の向上と業務負担の軽減が両立される見込みだ。
さらにAIは、数値やファイルの有無といった定型的なチェックだけでなく、添付ファイルの中身まで解析したうえで、ルールとの整合性を確認する。
AIが生成する指摘文は、テンプレートではなく入力内容に応じた個別の文章で、申請者にとって理解しやすい形で提供される仕組みとなっている。
※AI-OCR:人工知能を活用した光学文字認識技術。紙書類などをスキャンしてデジタル化する際に用いられる。
AI活用で経理業務が変革、一方で効率化に課題も
AI申請レビューの導入により、経費精算プロセスにおける属人的な確認作業が軽減され、業務の標準化が一層進む可能性がある。申請者だけでなく、承認者もAIのレビュー結果を参照できるため、確認に要する時間が短縮される点は大きな利点だろう。
一方、すべてのケースにおいてAIの判断が完全に正しいとは限らない。社内規定が曖昧な場合や特例的な申請内容にはAIが対応しきれないリスクもあるため、AIを過信せず最終的な判断は人間が行うことが重要である。
また、導入初期は社内ユーザーがAIの出力に戸惑う可能性があり、修正案の精度や文脈の理解にばらつきがあると、かえって混乱を引き起こすことも考えられる。
運用定着には、AIのレビュー結果を適切に補完する教育体制やマニュアルの整備が不可欠だ。
それでも、経費申請におけるAIの活用は今後の主流となる可能性が高く、企業の大小を問わず、人的ミスの防止とコスト削減の両面で効果が期待できる。クラウド型システムとの相性も良いため、経理業務全体の変革にもつながり得るだろう。