Meta、AIチャットボットが自発的に会話を開始する新機能を開発中か

2025年7月3日、米メディア「Business Insider」は、MetaがAIチャットボットによる自発的な会話開始機能の開発を進めていると報じた。
ユーザーの入力を待たずに対話を始める仕様で、同社のAI活用戦略の一環とされている。

Meta、ユーザーに先んじて話しかけるAI機能を開発中か

Business Insiderが報じたところによると、Metaは「Project Omni」という名称で、AIチャットボットがユーザーに自ら話しかける新機能の開発を進めている。
Metaと提携するスタートアップAlignerrが、ラベル付け作業を通じてこの機能のトレーニングに関与しているという。

Meta広報は、AI開発基盤「AI Studio」において、ユーザーの興味を深掘りするフォローアップメッセージ機能をテストしていると認めているという。
チャットボットは、シェフや医師、作曲家など、あらかじめ設定されたキャラクターを保ちながら、過去の会話内容を基に個別に最適化されたメッセージを送信するよう設計されている。

この新機能は、ユーザーが過去14日間に5回以上チャットボットとやりとりした場合に限って作動し、ユーザーが反応しない場合は送信を控える仕組みになっている。
また、チャットボットは、議論を呼ぶ話題や感情的になりやすいトピックには触れないよう訓練されているとされる。

Metaはこの取り組みを、2024年に立ち上げたAI Studioの発展形として位置づけており、同プラットフォームはインフルエンサー向けのカスタムAIアシスタントにも活用されている。

対話型AIの積極性がもたらす利便性と心理的リスク

Metaが開発を進めるチャットボットの自発的対話機能は、エンゲージメント向上や利用促進の面で大きな効果を期待できる。
ユーザーが操作しなくても、興味関心に沿った話題が提示されることで、会話の継続性が高まり、アプリ利用頻度の向上にも寄与し得る。

また、AIが孤独感を和らげる存在となる可能性もある。特に人間関係が希薄になりがちな現代社会において、対話型AIがコミュニケーションの補完的役割を果たすという構想は一定の説得力を持つ。

一方で、AIとの対話に過剰に依存するリスクも一般的に指摘されている。実際、他社製のチャットボットを巡っては、ユーザーが精神的に影響を受けたとされる事例が訴訟に発展している。
AIとの会話が長期化・常習化することで、現実世界の人間関係を希薄化させる恐れがある。

さらに、AIが送信するメッセージの内容が、ユーザーにとって過干渉と感じられる可能性も否定できない。パーソナライズの度合いによっては、ユーザーの感情やプライバシーを侵害するリスクも孕んでいる。

今後は、ユーザーの心理的負荷を抑えつつ、AIの対話機能をどこまで拡張できるかが、各社の技術的・倫理的な課題となるだろう。