「モンハンワイルズ」講演がCEDECで中止 PC版の動作不安定巡る批判背景に

2025年7月5日までに、国内ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2025」の講演タイムテーブル上で、カプコンが予定していた「モンスターハンターワイルズ」のパフォーマンス調整に関する講演が中止されたことが確認された。
PC版を中心とした動作不安定への批判が続く中での決定とみられる。
「モンハンワイルズ」最適化講演、開催前に中止
2025年7月22日〜24日に開催される「CEDEC 2025」において、カプコンは「『モンスターハンターワイルズ』を快適な動作に導く!パフォーマンス調整の全て」と題した講演を予定していたが、7月5日までに公式タイムテーブル上から削除され、中止されたことが確認された。中止の理由について、主催者・カプコンのいずれからも正式な説明は出されていない。
本講演は、同作の動作安定性やパフォーマンス最適化に関する技術的内容を中心に構成される予定だった。なお、カプコンが予定している他のセッションについては、予定通り実施される見通しだ。
「モンスターハンターワイルズ」は、2025年2月末に発売され、3月には累計1000万本の販売を達成した。
大規模タイトルとして注目を集める一方で、PC版を中心に安定性や動作環境に関する不具合が多く報告されており、ユーザーレビューでも、7月7日時点でSteam上の総合レビューは「賛否両論」、最近のレビューは「圧倒的に不評」となっている。
特に6月30日に配信されたアップデートでは、一部のユーザーから「ゲームがクラッシュした」「PCが異常をきたした」といった声が相次ぎ、7月1日には不具合修正パッチが配信される対応が行われた。
さらに4日には、修正予定や既知の問題をまとめた資料をSNSで公開。加えて、社員への中傷や脅迫行為に対し、法的措置を含む対応方針も公表されている。
開発姿勢への信頼揺らぐ中、情報発信と運営体制に課題も
今回の講演中止は、ユーザー間で広がる不満や信頼低下の象徴とも言える。
大規模タイトルでありながら、PC版の動作安定性における初期対応の遅れや情報不足は、開発・運営体制への疑念を招く結果となっている。
ユーザー視点では、アップデートやパッチによる問題対応が行われている点は一定の評価に値するが、「後手に回っている」との印象も否めない。
特にSNSを通じた情報共有や、開発者側からの透明性ある説明が求められる中、今回の講演中止はその期待に応える機会を逸した形となった。
また、開発者個人に対する中傷や脅迫といった行為が表面化したことで、カプコンは法的措置を含む対応方針を打ち出したが、こうした対立構造はユーザーとの建設的な関係性を損なう恐れもある。
運営側が真摯な姿勢で不具合と向き合う一方、ユーザー側にも冷静な議論とフィードバックが求められる。
今後は、動作の安定化だけでなく、信頼を回復するための積極的な情報発信と双方向の対話姿勢が試される。
CEDECという開かれた場での講演が見送られたことにより、その課題はより顕在化したと言えるだろう。