パナソニックコネクト、生成AIで年間44.8万時間削減 業務効率化が「頼むAI」へ進化

2025年7月7日、パナソニック コネクトは社内AIアシスタント「ConnectAI」の2024年活用実績を発表した。AI活用による業務削減効果は44.8万時間に達し、今後はAIエージェントによる自動化拡大を進める方針だ。
業務効率44.8万時間削減 生成AI活用が2.4倍に
パナソニック コネクトが提供する「ConnectAI」は、OpenAIやGoogle、Anthropicの大規模言語モデル(LLM)(※)を活用して開発されたAIアシスタントである。2023年2月から国内全社員約1万1600人に展開されている。
2024年の活用分析では、年間業務削減効果が44.8万時間と、前年の2.4倍に増加した。利用回数も約1.7倍の240万回、1回あたりの平均削減時間は28分に伸び、月間ユニークユーザー率は49.1%と前年より14.3ポイント上昇している。
この成果は、社員がAIを「聞く」だけでなく「頼む」使い方へシフトしたことが背景にある。
具体的には、コード自動生成や既存コードのリファクタリング、業務マニュアルや基準書の作成、資料レビュー、アンケート分析など幅広いタスクにAIが活用された。画像やドキュメント処理の高度化も進んでいるという。
※大規模言語モデル(LLM):膨大なテキストデータを学習し、人間のように自然な文章生成や質問応答を行うAIモデル。OpenAIのChatGPTなどが例。
AIエージェント活用で業務プロセス自動化が加速へ
パナソニックコネクトは今後、AIエージェントをナビゲーター型、ワークフロー型、汎用型に分類し、業務自動化をさらに推進する計画だ。この戦略は、部門横断でAIを活用する全社的なDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速につながる可能性が高い。
特化AIの導入事例も増加しており、品質管理や人事研修といった自社特有の業務領域での活用が進めば、AIによる業務改革の深化が見込まれる。
一方で、AI活用の定着には社員教育とガバナンス強化が不可欠だ。AIのアウトプットを適切に評価できる人材育成や、誤動作への対応体制が求められるだろう。
技術面では、クリエイティブ業務や意思決定支援の領域でもAI活用が広がると考えられる。
今後3〜5年で、AIが単なるアシスタントから業務プロセスの中核に移行する可能性は十分にあるが、そのためには信頼性と説明可能性の担保が大前提となるだろう。