米、AI半導体の対中迂回輸出に規制検討 マレーシア・タイ経由も対象に

2025年7月4日、米ブルームバーグ通信は、トランプ米政権がマレーシアおよびタイを通じたAI向け先端半導体の中国への迂回輸出を防ぐため、新たな輸出規制を検討していると報じた。米エヌビディア製品などが対象となる可能性がある。
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マレーシア・タイ経由のAI半導体輸出にも網
ブルームバーグ通信の報道によれば、米トランプ政権がAI関連の先端半導体について新たな輸出規制を導入する方針を示している。
規制対象はマレーシアおよびタイである。
本規制は、米国製のAI半導体がマレーシアやタイに輸出された後、これらの国を経由して中国企業に再輸出されることを防ぐ狙いがある。
対象となる半導体は、エヌビディア(NVIDIA)などが提供する高性能なAI処理チップが想定されており、正式な決定はまだ下されていない。
この措置は、バイデン前政権が策定した既存の半導体規制案を置き換える形で検討されており、AI覇権をめぐる米中対立の一環として位置づけられている。
半導体サプライチェーンに波及も ASEAN各国の対応に注目
今回の規制案が正式に施行された場合、東南アジア経由の半導体供給網に大きな影響が及ぶ可能性がある。
特にマレーシアとタイは、グローバルな半導体組立・テスト拠点として知られており、米中間の技術摩擦が域内の製造業や貿易に波及することが懸念される。
一方で、米国による輸出管理強化は、中国企業による先端技術の取得を一層困難にする効果が期待される。これにより、AI開発の主導権を米国側に引き寄せる狙いがあると見られる。
ただし、規制が過度に広がれば、同盟国や友好国の経済活動にも影を落とす恐れがある。
ASEAN諸国が自国経済と国際関係のバランスをいかに取るかが、今後の焦点となるだろう。