卓上サイズのAIスパコン「NVIDIA DGX Spark」登場 アスクが国内取り扱い開始

2025年7月4日、国内代理店アスクはNVIDIAのデスクトップ型AIスパコン「NVIDIA DGX Spark」の取り扱い開始を発表した。Grace Blackwellアーキテクチャを採用し、卓上に置けるサイズでありながらデータセンター級のAI性能を実現する。
価格と納期は要問合せとなっている。
卓上設置可能な超小型AIスパコン、最大1PFLOPSを実現
「NVIDIA DGX Spark」は、AI開発者や研究者向けに設計されたデスクトップ型スーパーコンピュータである。
Grace Blackwellアーキテクチャを採用し、FP4精度で最大1PFLOPS(※)の演算性能を備える。最大2,000億パラメータの大規模言語モデル(LLM)をローカルで実行でき、LlamaやMistral、DeepSeekなどの最新モデルにも対応可能だ。
本体は150×150×50.5mm、重量1.2kgとコンパクトで、一般的なPCデスク上にも設置できる。
プロセッサはGB10 Grace Blackwell Superchipが搭載されており、Cortex-X925とCortex-A725による計20コアCPUとBlackwell GPUで構成されている。
メモリは128GB、ストレージは1TBまたは4TBのM.2 NVMe SSDを選択できる。
インターフェイスはUSB Type-C×4、10Gigabit Ethernet、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.3、HDMI 2.1a出力などを備える。
OSは「NVIDIA DGX OS」を標準搭載。
さらに、NVIDIA AI Enterpriseライセンスも付属し、PyTorch、TensorFlow、RAPIDS、Triton Inference Serverなどの主要AIフレームワークが事前設定されている。
これにより、導入後すぐにAIトレーニングや推論を始められる環境が整う。
※PFLOPS(ペタフロップス):1秒間に1,000兆回の浮動小数点演算を処理できる性能を示す単位。
ローカルAI開発を変革か 普及の鍵は価格と用途拡大
「NVIDIA DGX Spark」の登場は、AI開発のローカル化を加速させる可能性がある。
特に、データセンター資源を持たない中小規模のAI企業やスタートアップにとっては、従来は実現困難だった大規模モデルのローカル実行が現実味を帯びる。クラウドサービスに依存しない独自AI開発の動きが広がるかもしれない。
普及の鍵は、NVIDIAがどの程度価格を抑えられるかにかかっていると考えられる。
もし価格が従来のDGXより大幅に低下すれば、個人研究者や教育機関への普及も期待できるが、高額なままであれば、市場は限定的になるだろう。
また、今後はソフトウェア最適化や省電力設計が進むことで、より一般的なオフィス環境やエッジコンピューティング領域にも展開が拡大する可能性がある。
総じて、DGX Sparkは“ゲームチェンジャー”になりうるが、それを実現するためには価格戦略とユースケースの開拓が不可欠であると言える。