アビーム、AIエージェント導入で売上成長率115%達成 Salesforce製品で営業高度化を実現

2025年7月2日、セールスフォース・ジャパンは、アビームコンサルティングが同社のAIエージェント「Agentforce」や「Data Cloud」「MuleSoft」を導入し、戦略アカウントの営業機会を従来比120%、売上成長率を同115%に引き上げたと発表した。
アビーム、Salesforce AI導入で売上115%・営業機会120%に拡大
アビームコンサルティングは、SalesforceのAIエージェント「Agentforce」、統合データ基盤「Data Cloud」、接続基盤「MuleSoft」を活用し、営業活動の高度化と業務効率の両立を実現した。セールスフォース・ジャパンが2025年7月2日に明らかにした。
同社は中期経営計画において、顧客管理とアカウント戦略の高度化を掲げていたが、これまでの営業活動は一部の成績優秀者の経験や直感に依存していた。
こうした非再現性を克服するため、優秀者の行動特性を構造化し、Agentforceに実装。全コンサルタントが同様の視点と判断基準で行動できる仕組みを構築した。
Agentforceは、報告業務やアカウントプランの自動更新、顧客情報の収集・分析を担うほか、「脱炭素」などの業界動向に基づく即時提案や役員人事に応じたアクション提示も行う。
これにより営業プロセスの自動化・標準化が進み、戦略アカウントに対する提案機会は120%、売上成長率は115%に達した。
山田貴博社長は「自社実践がより具体性と説得力のある提案や変革実現力につながると考えている」とコメントし、Salesforceの活用が企業変革の核になるとの認識を示した。
再現性ある営業モデルの構築で提案力と競争力が向上へ
アビームの取り組みは、属人的な営業スキルの脱却と、組織全体での戦略的提案力の平準化に成功した点で高く評価できる。
AIを活用し、優秀者の思考・行動パターンを全社で再現可能にしたことで、営業活動の質とスピードが大幅に向上した。
一方で、AIに依存しすぎた業務プロセスの硬直化や、モデルの更新が追いつかない場合の判断誤差など、リスクも存在する。
特に、提案先の文脈や経営者の個別ニーズへの柔軟な対応力をどう担保するかが今後の課題となる。
今後は、名刺交換データや対話履歴、顧客満足度調査の結果など、多様な顧客接点情報を基にしたアラート生成や洞察提示も検討中だ。これにより、人の勘や経験に依存せずとも、高度な営業判断を支援できる環境がさらに整備されていくとみられる。
企業のDXが進む中で、AIを活用した営業戦略の高度化は、競争優位の鍵となるだろう。
他企業にも波及する可能性があり、AI営業の新たなベストプラクティスとして注視すべき事例といえる。