DeNAが米Cognitionと提携 AIエージェント「Devin」日本展開を支援へ

2025年7月2日、ディー・エヌ・エー(DeNA)は、AIエージェント「Devin(デヴィン)」を開発する米Cognition AIとの戦略的パートナーシップを発表した。
子会社を通じて、日本市場におけるDevinの展開を本格的に支援する。
DeNAがDevin導入拡大へ エンジニア以外も利用可能に
DeNAは、2025年4月に設立した100%子会社「DeNA AI Link」を通じ、米Cognition AIと提携し、AIエージェント「Devin」の日本市場展開を支援する方針を打ち出した。
Devinは、要件定義から設計、実装、テスト、デプロイまでを自律的に実行できる高性能AIであり、Slackなどの業務ツールとも連携して開発チームの一員のように機能する。
同社は2025年2月からDevinの社内運用を開始しており、「大幅な生産性向上が見られた」と評価した。これを受け、導入規模を拡大するとともに、DeNA社外への展開も視野に入れた戦略的連携に踏み切った。
特に注目できるのは、エンジニアでなくても正確な指示ができればコード生成を依頼できるという点だ。DeNAはこれにより「モノづくりの裾野が拡大する」としており、AI活用による業務の再構築が加速している。
開発現場の構造改革と課題
Devinの展開は、開発現場の構造転換を加速させる起点となるだろう。
まず、各エンジニアが「AIを従える個人チーム」として活動するスタイルが定着すれば、従来の分業型開発体制が再編される可能性がある。マネジメントの役割も「進捗管理」から「AIと人の連携設計」へとシフトし、よりメタ的な視座が求められていくはずだ。
また、AIの活用によってプロトタイピングのコストが劇的に下がることで、スタートアップや中小企業にも「高速で試せる」開発力が普及していくと考えられる。
アイデアベースの事業立ち上げが容易になり、競争の土俵が広がると同時に、既存企業にとっては変化への適応速度が生存条件になるだろう。
一方、今後はAI倫理やセキュリティの観点から、AIエージェントが生成するコードの責任所在が問われる局面も増えるだろう。DeNAがこの点にどう向き合うかが、国内普及のカギになると思われる。
「AIが開発を担う時代」の幕開けは確実に訪れているが、それは人間の役割が終わることを意味しない。むしろ、「どのようにAIを使いこなすか」が、今後の開発者や組織に問われる根本的な問いになっていくといえる。