Yahoo!ショッピング、AIが最適商品を提案 質問に答えるだけで購入体験が変わる新機能β版公開

2025年7月2日、ヤフー株式会社は「Yahoo!ショッピング」アプリにおいて、生成AIを活用した商品検索サポート機能のβ版を一部ユーザー向けに提供開始すると発表した。質問に答えるだけで、AIがニーズに合った商品を最大5件提案する仕組みで、今後Android版への展開も予定されている。
AIが質問に応じて最適商品を提案する新体験
ヤフーが提供する新機能は、ユーザーが簡単な質問に回答することで、生成AIが最適な商品を提示するというものだ。対象は「Yahoo!ショッピング」アプリのiOS版を利用する一部ユーザーで、アプリのトップ画面にある検索欄にキーワードを入力すると、AIが自動的に初回の質問を提示する。
質問内容は、購入対象が単身者か家族か、予算はいくらか、優先する条件は何かといったもので、対面の販売員と会話するような感覚でニーズを絞り込んでいけるのが特徴である。
回答をもとにAIが最大5つの商品を提示し、それぞれには「AIマッチスコア」が付与される。これはユーザーの回答内容と商品の適合度を数値化したもので、比較の指標として利用できる。
商品をタップすれば、詳細なスペックだけでなく、お得な購入タイミングやレビューの要約、競合製品との比較情報まで表示され、購入判断に必要な要素がひと目で把握できる設計となっている。
AI接客がEC体験を変革 利便性と誤提案リスクの両面も
今回のAI商品提案機能は、ECサイトにおける「検索疲れ」の解消や、初心者層の購入ハードルを下げることが期待できる。従来のキーワード検索では情報量が多すぎて商品選定が難しいケースも多く、AIによる対話型の絞り込み機能は、利用者のストレスを軽減する可能性がある。
特に、日用品や家電のようにスペックや価格の幅が広いカテゴリーでは、ユーザーの目的に沿った提案が購買率の向上に直結する。また、レビュー要約や比較情報がワンストップで閲覧できることも、意思決定を加速させる要因になるだろう。
一方で、AIの提案精度がまだ発展途上である点には留意が必要である。質問の意図を正確に理解できなければ、ミスマッチな商品が提示される可能性があり、これがユーザーの不信感につながる懸念もある。
今後、Android版や正式版への展開を通じて、AIモデルの精度向上やユーザーフィードバックの収集が進めば、より高度なパーソナライズが実現する可能性がある。AIによる「接客体験」がどこまでリアル店舗に近づけるか、今後の進化に注目が集まる。