KTクラウドとインテルが提携 生成AIサービス「AIファウンドリー」強化

2025年6月30日、韓国通信大手KTの子会社であるKTクラウドは、米インテルとAIおよびクラウド事業における業務提携を交わしたと発表した。これにより、生成AI需要への本格対応を目指すとみられる。
KTクラウド、AIファウンドリーで生成AI対応強化
今回の主眼は、インテルの最新AI半導体やサービスを、KTクラウドが展開するAIサービス「AIファウンドリー」と連携し、推論処理性能の向上やコスト効率の最適化を図ることが目的である。
AIファウンドリーは、生成AIに必要なRAG(※)や各種AIモデル、推論用インフラまでを統合的に提供するプラットフォームで、KTクラウドがパートナー企業向けに展開する事業だ。
KTクラウドは、5月にも韓国のスタートアップであるRebellions(リベリオン)やUpstage(アップステージ)と連携し、事業を本格始動させている。
今回の提携では、KTクラウドがインテル製AI半導体「Gaudi(ガウディ)」シリーズの導入も視野に入れており、高コストが課題とされる推論処理の価格性能比を改善する計画とみられる。
今後は、産業別ニーズに対応したクラウド商品の開発にも着手するとしており、両社の協業は長期的な技術連携へと発展する可能性がある。
※RAG(検索拡張生成):あらかじめ用意された情報源をAIが参照しながら応答する生成手法。従来の大規模言語モデルよりも正確性と再現性が高まるとされる。
韓国のAIインフラ整備と半導体活用に期待と課題
KTクラウドとインテルの提携は、韓国国内で高まる生成AI対応インフラ需要に応える形となるだろう。
AIファウンドリーの強化により、中堅・中小企業でも最新のAI技術を利用しやすくなり、AI普及の裾野が広がることが期待される。
一方で、AI向け半導体の選定や導入には依然として慎重さが求められると考えられる。
インテルの「ガウディ」は、米NVIDIA製品に対抗するかたちで性能向上を進めているが、ソフトウェア開発環境やパートナー支援体制はNVIDIAに比して発展途上との見方もある。
企業ユーザーがスムーズに活用するには、KTクラウドとインテル双方による導入支援体制の整備が不可欠だろう。
また、AIファウンドリーが標準的なインフラとして定着するには、単なる技術提供にとどまらず、パートナー企業へのカスタマイズ性や継続的なサポートが求められると考えられる。
とはいえ、韓国政府も生成AIインフラ支援に向けた政策を強化しており、KTクラウドの動きはその先導役になりえる。
今後の焦点は、インテルとの協業がコスト削減だけでなく、国内AI企業の育成や国際競争力の強化にもどれだけ貢献できるかという点にありそうだ。