イオンネクスト、AIロボで物流自動化加速 人手作業の3割削減へ

2025年6月30日、イオンのネットスーパー事業を展開するイオンネクストは、千葉県千葉市の大型物流拠点「誉田CFC」に新たなAI搭載ロボット2種を導入すると発表した。
人手作業の約30%をロボットが担い、作業負荷の軽減と効率化を目指す。
千葉の物流拠点にAIロボ導入 本格稼働で人手の3割を代替
イオンネクストは、ネット専用スーパー「Green Beans(グリーンビーンズ)」の中核拠点である誉田CFC(顧客フルフィルメントセンター)において、新たなAIロボット2機種を本格導入すると明らかにした。
ピッキング・パッキング作業を行う「オングリッドロボットピック」と、配送前の積み込みを担う「オートフレームロード」である。
「オングリッドロボットピック」は、AIが商品ごとの形状や重量を判断しながら、袋詰めまで自動で行う仕組みで、1日約20万点のピッキング能力を備える。初期は約3000品目に対応し、2025年度中には1万品目に拡大する予定だ。
一方、「オートフレームロード」は、最大20kgのトート(注文ボックス)をAIが自動で配送用台車に積み込む。重労働の完全自動化により作業者の負担を軽減し、積載バランスの最適化も図られる。
このほか、既存設備として、棚上を走行する「ボット」、1分間に50袋以上の袋掛けを行う「オートバギング」、重量物を扱う「バキュームリフター」、入荷品を自動搬送する「無人搬送機(AGV)」などがすでに稼働しており、全体として物流オペレーションの効率化を推進している。
需要拡大に備える効率化戦略 AI化で物流人材の代替進む
オンライン食品需要の拡大が続く中、イオンネクストは物流拠点の柔軟性と効率性の確保を急いでいる。
特にピッキングや出荷準備といった高負荷業務は人手に依存してきたが、AIとロボティクスの活用でこの課題を克服しようとしている。
ロボットによる省人化が進めば、深刻化する労働力不足への対応策となりうる。特に重労働の自動化は、離職率の抑制や人材定着にも寄与する可能性がある。
加えて、精度の高い作業と安定稼働によって、配送の品質向上やクレーム削減も期待される。
一方で、導入コストやロボットのメンテナンス、突発的な機器トラブルへの備えといった課題も無視できない。業務全体の自動化率をどこまで高められるかは、現場の最適化設計と技術的信頼性に依存する。
今後、イオンネクストのような大手流通が主導するAI化の波は、他業種・他企業にも波及し、国内物流全体のスマート化を後押しする契機となるだろう。