メタプラネット、ビットコイン保有で世界5位に浮上 6月だけで5,550BTCを積み増し

2025年6月30日、日本の上場企業メタプラネットが1,005ビットコイン(BTC)を追加取得したと発表した。この動きにより、同社は企業として世界5位のBTC保有量を記録した。
6月の5度の大型購入で保有BTCは1万3350枚に
今回の追加購入は、ビットコイントレジャリー戦略の一環として実施されたもので、平均購入価格は1BTCあたり1,556万9,831円、総額は約156億4,800万円にのぼった。
これにより、同社の累計購入額は約1,913億3,200万円となり、平均購入単価は1,433万1,959円となっている。
企業の仮想通貨保有状況を集計する「Bitcoin Treasuries」によれば、この購入をもってメタプラネットはカナダのGalaxy Digital Holdingsや米CleanSparkを上回るビットコイン保有量を確保した。現時点での保有枚数は1万3,350BTCであり、世界企業ランキングで第5位に躍進した形だ。
6月の動きは特に顕著で、月内に5度の大規模購入を実施し、いずれも1,000BTCを超える規模で累計5,550BTCの増加となっている。この急激な買い増しは、企業としての強い仮想通貨シフトを裏付けるものだと言える。
また、同日にはEVO FUNDを引受先とする300億円の普通社債発行も発表しており、この資金もBTC購入に充てる計画が示されている。財務戦略の一環として暗号資産への資本集中を進める姿勢が明確になった。
企業戦略の大転換 資産運用リスクとリターンの賭け
メタプラネットのような上場企業が、ビットコインを大量に保有資産へ組み入れる動きは、国内では極めて異例である。この戦略は資産のインフレ耐性や希少性に着目したものであり、長期的には企業価値向上の布石となる可能性がある。
一方で、仮想通貨のボラティリティ(※)は依然として高く、価格下落時には大きな含み損を抱えるリスクがある。実際にビットコイン価格が急落すれば、同社の財務指標や株価にも影響が及ぶ可能性は否定できない。
とはいえ、EVO FUNDからの社債調達を通じて、外部資金を用いた取得を行っている点は注目される。これにより、手元資金を温存しつつもBTC資産を拡大できるという財務上の柔軟性を確保している。
今回の動きを皮切りに、他の日本企業が追随するかどうかも焦点となる。世界的にはストラテジー社のような先例があるものの、日本市場で仮想通貨戦略が定着するには、規制や会計処理の明確化といった制度面の後押しが不可欠である。
※ボラティリティ:資産価格の変動性を示す尺度。値動きが大きいほど高いとされる。