キヤノンS&S、中小企業向けに経営支援サービス 生成AI研修とCO2算定支援を新たに提供

2025年6月27日、キヤノンシステムアンドサポート(以下、キヤノンS&S)は、中小企業の経営課題に対応する新サービス「まかせてIT BXシリーズ」を発表した。
生成AI活用の人材育成研修とCO2排出量の算定支援を軸に、IT活用から脱炭素対応まで支援領域を広げる。
生成AI研修とCO2算定支援を新たに展開
キヤノンS&Sは、中小企業の経営支援を強化する新シリーズ「まかせてIT BXシリーズ」の提供を開始した。
同社は2023年より「まかせてIT DXシリーズ」としてIT導入支援を展開しており、累計12万社の導入実績を持つ。BXシリーズは、経営層が抱える「人材不足」「生産性の低下」「脱炭素対応」などの課題に対し、より踏み込んだ支援を行う目的で開発された。
新メニューの一つである「生成AI時代の人材育成研修」は、経営層からの要望に基づき、意思決定力とAI活用スキルを備えた自立型人材の育成を目指す。
研修は2日間の集合形式で実施され、プロンプト作成、業務プロセスの可視化、論理的思考の強化といった実践的な内容を含む。費用は1人当たり15万円(税別)で、オプションとしてeラーニングも用意されている。
さらに、CO2排出量算定支援サービスでは、自社活動における排出量(スコープ1・2)を対象に、領収書や請求書に基づくデータ収集と算定を代行する。
作業負担やノウハウ不足を補う形で提供され、100枚まで15万円、最大300枚まで36万円とする価格体系が導入された。
生成AIと脱炭素支援で経営課題の包括解決へ
まかせてIT BXシリーズは、中小企業が直面する多面的な経営課題に対し、包括的かつ実務的に対応する構成となっており、実効性の高い支援策と位置付けられる。
生成AIに関しては、単なるツール導入ではなく、業務改善や意思決定の場面で活用できる「人材の内製化」に主眼を置いた研修設計となっている点が特徴だ。これにより、現場主導での生産性向上やイノベーション創出が期待できる。
一方で、CO2排出量算定についても、自社および購入エネルギーにおける排出量を可視化する支援は、脱炭素社会への対応が急務となる中でタイムリーな取り組みといえる。スコープ3(※)は対象外であるが、ニーズ次第での対応拡大も見込まれている。
こうした取り組みは、ITと経営の融合を進めるキヤノンS&Sの戦略的展開の一環と位置づけられる。
今後は、他の業種や地方企業への横展開によって、さらなるサービス進化の可能性もあると考えられる。
※スコープ3:自社のバリューチェーン(調達・販売・廃棄など)全体で発生する温室効果ガス排出量を指す。スコープ1・2に比べ把握・管理が難しく、国際的な脱炭素対応では重要視されている。