SCSK、ノーコードツール「CELF」に生成AI正式搭載 業務アプリ開発と文書処理を高度化

2025年6月26日、SCSK株式会社はノーコード開発ツール「CELF」に生成AI機能を統合した有償オプション「CELF AI」の正式版を発表した。
社内外の文書検索や画像データの処理機能を強化し、多業種への展開を図る見込みだ。
SCSK、「CELF AI」正式版を提供開始 生成AIで業務支援を高度化
SCSKは6月26日、ノーコード開発ツール「CELF(セルフ)」に生成AIを搭載した有償オプション「CELF AI」の正式版を提供開始した。
これにより、Excelに近い操作性で業務アプリを作成できるCELFの特徴を活かしながら、文書検索やデータ化の精度・速度を大幅に向上させた。
この正式版では、社内外の膨大な文書群から必要な情報を瞬時に抽出するRAG(検索拡張生成)機能や、紙資料・スキャン画像・PDFファイルを自動で読み取るOCR機能を標準搭載。
2025年3月より製造・不動産・流通など約30社に対してβ提供を行い、実業務に即したニーズや効果を確認したうえで今回の正式版リリースに至った。
また、散在するExcelファイルの統合・可視化、問い合わせ応答の自動化といった処理にも対応し、業務の属人性排除と省力化を実現する。生成AIはユーザーデータを学習に使用しない設計で、情報漏洩リスクにも配慮されている。
導入事例として、写真館向けにデジタル画像処理およびプリントサービスを提供するプロカラーラボではRAGを活用した問い合わせ対応で月10時間の業務削減を実現。
ひだホテルプラザでは、手書きアンケートのOCR処理と分析を一括で行うことで、作業負荷軽減と顧客理解の深化につなげている。
中堅企業にも広がる可能性 生成AI活用の現実解として注目
CELF AIの正式提供は、ノーコードと生成AIの融合を象徴する動きとして注目できる。
特に非IT人材でも扱える操作性や、OCRやRAGといった即効性の高い機能を備えている点は、現場主導の業務改善ニーズとの親和性が高いと考えられる。
メリットとしては、データ入力や検索といった定型作業の自動化によって、従業員が本来の付加価値業務に集中できる環境が整うことが挙げられる。
さらに、属人化しやすい業務の標準化も可能であるため、人的リソースの限られる中小・中堅企業においても導入効果は大きいだろう。
一方で、生成AIの出力精度や文脈理解に依存する業務では、過信による判断ミスのリスクも懸念される。そのため、導入時にはAIのアウトプットを適切に評価・補完できる業務設計が求められる。
今後は、CELF AIを通じた業務の効率化・標準化を武器に、ノーコード開発の裾野がより広がると見られる。
特にOCRやRAGの機能強化を中心に、業界横断的な導入が加速する可能性があるだろう。