ザイフ、大口投資家向けに「Zaif Prime Desk」開始 OTC取引で柔軟な価格設定とスリッページ回避へ

2025年6月25日、国内暗号資産取引所Zaif(ザイフ)は大口取引に特化した優遇サービス「Zaif Prime Desk(ザイフ・プライム・デスク)」を正式に発表した。
OTC(店頭)形式の取引を通じて、より安定した価格・取引条件を提供する。
Zaif、新サービスで大口OTC取引を本格化
Zaifが発表した「Zaif Prime Desk」は、1,000万円相当以上の取引を対象とするOTC取引(※1)サービスである。
従来提供されていた「クリプトOTCデスク」を全面的に刷新し、取引スキームやサポート体制を強化した。
同サービスでは、ユーザーがZaifの専門スタッフに対して希望価格や数量、条件を直接伝えることができる。これにより、板取引では難しかった柔軟な価格交渉や大量一括取引が可能となる。
OTC取引では、取引所内の流動性に依存せずに、提示された一括価格での売買が成立する。これにより、大口注文時に発生しがちなスリッページ(※2)のリスクを回避できるのが大きな利点である。
取引対象は現時点で、BTC/JPYおよびETH/JPYの2通貨ペアである。
手数料は明示されず、提示価格に実質的な手数料が含まれる方式を採用しているという。
※1 OTC取引:(Over The Counter取引):取引所を介さず、販売者と購入者が直接取引する方式。価格交渉の自由度が高く、大量取引に向く。
※2 スリッページ:注文時に指定した価格と実際の約定価格にズレが生じる現象。特に流動性の低い市場や大口注文で発生しやすい。
OTC活用で法人投資家囲い込みへ 利点と課題の両面
Zaifは今回のリニューアルを通じて、大口投資家への対応強化と取引の利便性向上を図る狙いがあると考えられる。
「Zaif Prime Desk」は価格の安定性と柔軟な交渉が可能なことから、特に機関投資家や高額資産を保有する個人投資家にとって魅力的な選択肢となるだろう。
また、匿名性の高い取引を求める法人にとってもOTCは好ましい手段となる可能性がある。Zaifは専任スタッフを介して直接やり取りを行うため、セキュリティやプライバシー面でも優位性を持つ。
一方、OTC取引は相対契約に依存するため、価格の透明性が相対的に低い点や、悪質な取引事例も発生するリスクはあると考えられる。Zaifは国内で登録を受けた正規事業者であるため、一定の信頼性はあるが、利用者側にもリスク管理の視点が求められるだろう。
今後は、他の国内取引所も同様のサービスを展開し、大口取引市場の競争が激化する可能性もあるだろう。Zaifがその中でどのように差別化を図るか、引き続き注目したい。