オープンAI、ARRが100億ドルに急伸 生成AI市場で圧倒的成長を示す

2025年6月9日、米生成AI企業オープンAIは、年間経常収益(ARR)が現時点で100億ドルに達したと明らかにした。
昨年末の約55億ドルから大幅な成長を遂げており、通期売上高目標の127億ドル達成も現実味を帯びてきた。
オープンAI、ARR100億ドルで売上目標に現実味
オープンAIは、対話型AI「ChatGPT」の提供やエンタープライズ向けソリューションの拡大により、年間経常収益(ARR:Annual Recurring Revenue)が6月時点で100億ドルに到達したと発表した。
ARRとは、現時点の継続課金や契約ベースで年間に得られると見込まれる収益を示す指標で、企業の成長性や安定性を測る上で重視される。
この100億ドルという数字は、2024年12月における約55億ドルと比較して約2倍近い伸びである点からも、同社の飛躍的な成長がうかがえる。
今回の収益には、マイクロソフトからのライセンス料や一時的な大型契約による売上は含まれておらず、純粋な自社サービスの積み上げによって形成された数字であることも注目すべき点だ。
オープンAIは2025年の通期売上高目標を127億ドルと掲げており、今回のARR急伸はその達成に向けた確かな布石といえる。
生成AI市場で加速する格差 競合との差が鮮明に
ARR100億ドルという数値は、生成AI分野での競争優位を如実に示している。
たとえば、競合のAnthropicが提供する「Claude」は、同時点でARRが約30億ドルとされているため、オープンAIとの差は顕著だ。
背景には、ChatGPTの知名度とエコシステムの拡充があると思われる。
特に、法人向けのChatGPT EnterpriseやAPI提供によるSaaS型ビジネスの成功が、安定した収益構造を下支えしているのだろう。
一方で、この急成長にはスケーラビリティや倫理的課題、インフラコストの増大といったリスクも伴うはずだ。今後、AI規制や市場の飽和が進めば、成長スピードの鈍化も否定できない。
それでも現時点では、オープンAIが市場の覇権を握り続ける構図が強まっているといえる。