2026年11月2日、SBIホールディングスとフジ・メディア・ホールディングスなど3社は、メディア・コンテンツ領域における戦略的資本業務提携の締結を発表した。両社グループは合弁会社を立ち上げ、「感情経済圏」の共同構築を推進する見込みだ。
合弁会社設立でリアルメディアと金融基盤を融合へ
SBIホールディングス、SBIネオメディアホールディングス(以下、SBI NMH)、フジ・メディア・ホールディングス(以下、FMH)の3社は、メディア領域における新価値創造を目指して協業を開始した。中核事業基盤として、2027年1月に折半出資で資本金1億円の合弁会社を立ち上げる計画である。
この合弁会社は持株会社として機能し、ライブやイベントといったリアルな体験の場を提供する「リアルメディア(※)」領域を軸に子会社を順次展開していく構想だ。 第一弾として、FMHグループの企画制作力とSBIグループの8,800万を超える顧客基盤や決済技術を結集し、アーティストとファンをつなぐファンプラットフォーム事業の創出を検討する。
背景には、両社が描く戦略の合致がある。SBIグループは金融・ITとコンテンツを連動させる「ネオメディア生態系」を推進し、共感や熱狂が購買行動に結び付く「感情経済圏」の形成を目指してきた。一方のFMHグループも、2026年5月発表の新中期経営計画でコンテンツ創出から拡張までを一貫して手がけるエコシステムの構築を掲げており、双方のビジョンが合致した形だ。
※リアルメディア:ライブやイベント、スポーツ興行、各種施設など、人々が集い体験を共有する「場」を、コンテンツ・IPを通じて顧客とのエンゲージメントを継続的に深める媒体として捉えた概念のこと。
金融融合による世界進出の期待と初期投資回収の課題
提携事業の第二弾として、両社はグローバル展開を見据えた大型映像コンテンツ創出に向け、コンテンツファイナンスの共同研究を進める方針である。 FMHが持つIPの目利き力と、SBIのファンド運用ノウハウや総合金融機能を結集し、傘下にコンテンツファンド運営子会社の設立を目指す。あわせてFMHは、SBIが組成する1,000億円規模の「SBIネオコンテンツファンド」への出資を行う取り決めだ。
本提携は、制作資金調達の選択肢を広げ、日本のコンテンツ産業を海外市場へ押し出す強い推進力になると考えられる。放送と金融の枠組みを越えた立体的なマーケティングや地域活性化への波及も期待できるだろう。
一方で、1,000億円規模のファンド出資や合弁持株会社の運営には相応の事業リスクが伴う。リアルイベントや海外展開は初期投資がかさみやすく、景気動向やファンの支持獲得状況次第では、投資回収の長期化や収益性のばらつきが生じる懸念も否定できない。巨大な顧客基盤をどこまで持続的な消費行動へ転換できるかが、今後の成否を左右する要因と言える。