日本ビットコイン産業は、約8億円の第三者割当増資を決定したと発表した。
出資は全額ビットコインで受け入れ、海外向け販売を支える決済基盤の開発や送金ネットワークの拡充を進める。
BTC現物出資で約8億円、決済基盤と人材に投資
2026年10月28日に発表された今回の増資では、フルグル合同会社とANAPライトニングキャピタル(ALC)を割当先とし、調達総額は8億4万3,580円となる。
ビットコインによる現物出資で実施し、給付予定日は同年11月2日だ。
フルグルは米国のビットコイン専門投資会社Fulgur Venturesの日本法人で、ALCは東証スタンダード上場のANAPホールディングス傘下にある。
調達資金は決済インフラの開発、人材採用、ライトニングネットワーク(※)のルーティング事業と研究開発に充てる。
既存の決済手段にAPI経由で追加できるライトニング決済サービス「aurora」をはじめ、支払う側と受け取る側の双方に向けた製品を強化する方針だ。
また、同社はALCとルーティング事業に関する業務提携基本契約を締結した。ALC保有のビットコインを決済チャネルの流動性として配置し、日本発のルーティング基盤を共同で拡充する。
フルグルとは、Tokyo Bitcoin Baseや新潟県佐渡市での活動を軸に、技術者育成や情報発信での協業を協議する。
日本ビットコイン産業は、自社サービスでライトニング決済を約2年間運用し、税務・法務・流動性管理の課題に取り組んできたという。
同社は、海外決済事業者の規約によって合法的なコンテンツの販売が制限される状況や、カードを持たない海外顧客への販売機会を課題と捉える。
カード決済と併用できるビットコイン決済を広げ、日本企業の越境販売を後押しする考えだ。
※ライトニングネットワーク:ビットコインのブロックチェーン外で複数の送金を処理し、少額の支払いを高速かつ低コストで実行する技術。参加者間に決済チャネルを設け、複数のチャネルを経由して送金できる。
海外販路の拡大に期待、価格変動と普及が課題
ビットコイン決済を既存のカード決済に追加できれば、日本のゲームやイラストなどの制作者は、利用できる決済手段の違いによって取りこぼしていた海外需要に対応しやすくなる。
特定の事業者の規約だけに依存しない決済経路を確保することは、販売機会を守る選択肢の多様化にもつながるだろう。
一方で、ビットコインの価格変動は売り手と買い手の双方に負担となりうる。売上の円換算や会計処理、資金管理の手間が増えるほか、送金経路の流動性が不足すれば決済の安定性も損なわれかねない。
仲介事業者への依存を減らせても、各国の法規制やサービス提供上の制約が消えるわけではない。
今後は、価格変動への対処と事業者が導入しやすい操作性を両立し、継続的な利用につなげられるかが焦点となる。
調達額の大きさ以上に、実際の導入事業者数や決済件数、送金の成功率が、決済インフラとしての実力を示す指標になると考えられる。
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