2026年9月29日、東京都のCOMPASSが提供するAI型教材「キュビナ」が、さいたま市の市立全小・中・特別支援学校167校で正式採用された。小学1年生から中学3年生まで約10万人が利用を開始し、AIを活用した個別最適な学びを推進する。
AIが習熟度を分析 市立167校へ一斉導入
さいたま市は第2期さいたま市教育振興基本計画で「12年間の学びの連続性を生かした『真の学力』の育成」を掲げている。子どもが自ら学び、考え、他者と協働しながら新たな価値を創造する力を育むため、デジタル学習基盤による個別最適な学びや教育データを生かした指導改善を進めてきた。
今回その取り組みの一環として、AI型教材「キュビナ」が正式採用された。キュビナはAIが児童・生徒一人ひとりの習熟度に合わせ、適した問題を出題するアダプティブラーニング※教材である。小中9教科に対応し、教科書準拠問題を中心に10万問以上を搭載。全国220以上の自治体、小中学校約3,300校で100万人以上が利用している。
さらにさいたま市が導入する学習eポータル「L-Gate」と名簿連携を実施する。生徒名簿の登録や年次更新に伴う管理作業を増やさずにキュビナを利用できるため、児童・生徒の学習支援だけでなく、学校現場の業務負荷軽減にもつながる仕組みだ。
※アダプティブラーニング:学習者の理解度や習熟度などに応じて、出題内容や学習内容を個別に調整する学習方式。個々の進度に合わせた学びを実現しやすい特徴がある。
個別最適化と教員負担軽減へ データ活用が鍵
約10万人が一斉に利用する今回の導入は、AI教材を一部の学校や学年に限定せず、市全体のデジタル学習基盤へ組み込む取り組みとなる。児童・生徒ごとの習熟度に応じた問題を提供できれば同じ学年や教室の中でも理解度に合わせて学習を進めやすくなり、基礎学力の効率的な定着を後押しする可能性がある。
教員側にもメリットが見込まれる。キュビナは学習状況の見取り支援や演習問題の配信機能を備えており、L-Gateとの名簿連携も含め、教材利用に伴う管理作業を抑えながら教育データを指導へ生かせる。AIによる個別学習と教員による指導を組み合わせることで、限られた時間を児童・生徒への支援に振り向けやすくなると考えられる。
一方デジタル教材を大規模に導入するだけで個別最適な学びが実現するわけではない。蓄積された学習データを実際の授業や指導改善にどう結び付けるか、学校や教員が機能を継続的に活用できる環境をどう整えるかが重要になる。
今後167校という規模でAI教材と学習eポータルの連携が定着すれば、教材導入から名簿管理、学習データ活用までを一体化する教育DXの事例となる可能性がある。AIによる学習の最適化と学校現場の負担軽減を両立できるかが取り組みの次の焦点となりそうだ。