金融庁は国内金融の高度化に向け、ブロックチェーンを基盤とするオンチェーン金融の社会実装を促す方針を示した。
既存の金融インフラと組み合わせながら、資金・証券決済の効率化を進め、AI活用も含めた金融サービスの変革を後押しする。
官民対話でオンチェーン金融の実装を加速
金融庁は2026年9月15日、AIやブロックチェーンなどの技術進展を踏まえ、オンチェーン金融(※)の社会実装を促すとともに、既存の金融インフラとの適切な組み合わせを通じて、資金・証券決済などの高度化を進める方針を示した。
利用者保護と金融システムの安定を確保しながら、官民による実証や対話を重ね、技術、制度、監督上の課題を明らかにしていくという。
具体策として「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」を立ち上げ、社会実装に向けた検討を進める。
また、「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」と「AI等の健全な利活用の推進に関する研究会」で、制度設計や監督上の論点を整理する方針である。
クロスボーダー送金の高度化では、アジアとの官民政策対話を進め、Japan Fintech Weekの期間に「アジア・デー2027」を開催する。
資産のトークン化を見据えた証券決済の短縮化・高度化も市場関係者と検討するほか、手形・小切手の全面電子化も促すという。
AIについても、業務効率化に加え、利用者向けサービスの高度化やビジネスモデル変革を支える技術として位置づけている。
AIディスカッションペーパーの改訂などを通じて実務上の課題を整理し、金融機関等による健全な利活用を後押しする方針だ。
※オンチェーン金融:ブロックチェーン上で資産の発行や移転、決済などの金融取引を処理する仕組み。取引記録を分散型ネットワークで共有し、金融取引の効率化や自動化につなげる考え方を指す。
効率化の期待と監督高度化が同時課題に
オンチェーン金融が実用段階へ進めば、送金や証券決済の迅速化、業務工程の削減、異なる金融サービス間の接続性向上につながる可能性がある。
特に、資産のトークン化と決済インフラの高度化が連動すれば、国内外の資金移動や証券取引の利便性が高まり、日本の金融市場の競争力を押し上げる余地もある。
一方、金融庁が利用者保護や金融システムの安定を重視している点から、技術導入だけで社会実装が進むわけではないと考えられる。
分散型技術を既存制度や監督の枠組みにどう組み込み、障害や不正、システム上のリスクをどのように管理するかが重要になるだろう。
さらに、オンチェーン金融とAIが同時に金融業務へ浸透すれば、従来の監督手法だけでは対応しにくい新たな課題が生じる可能性もある。
技術革新による利便性を損なわずにリスクを管理するには、官民の実証で得た知見を制度や監督へ継続的に反映する仕組みが必要と言える。
金融庁の取り組みは、技術導入そのものよりも、実装と制度整備を並行して進められるかが焦点となりそうだ。
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