2026年9月9日、ダイフクとJDSCは物流無人化に向け、自然言語指示からLLM系Agentが自律的にロボット制御を行うアーキテクチャの検証結果を発表した。シミュレーション環境にて成功率97%を達成している。
AWS基盤とLLM制御基盤を統合 未学習タスクで成功率97%を記録
マテリアルハンドリング大手のダイフクとJDSCは、自然言語による指示を解釈し、ロボットの動作計画・実行までを自律的に行うフィジカルAI(※)アーキテクチャを構築した。
従来のロボット制御における決定論的なティーチング依存からの脱却を目指し、LLMベースのAIエージェントがタスクを最小実行単位へと動的に分解・制御する設計を採用している。指示内容とマルチモーダルな周囲の状況をリアルタイムで解析することで、事前にモデル登録されていない未知の商品と仕分け先の組み合わせに対しても柔軟な動作が可能となった。
評価環境には、AWSジャパンの技術支援のもとAmazon SageMaker等を活用した高ループなCI/CD型開発基盤を導入した。シミュレーション空間と学習サイクルを直結させたことで、アーキテクチャの構築から評価までをわずか約4カ月という極めて短期間で完了させている。
シミュレーション環境における未学習データの100回試行テストでは、97回で正常なポーズ推定および仕分けシーケンスの完遂を確認した。
※フィジカルAI:センサー等で物理環境のデータを取得・解析し、LLMや強化学習モデル等を介してアクチュエータなどの実物体を自律制御する技術体系。
Sim2Realの課題克服へ モジュラーなエージェント構成が鍵に
本アーキテクチャの確立は、ロボティクス分野におけるシステム構築の手間を根本から削減し、システムデプロイのリードタイムを極限まで短縮できる可能性を秘めている。
特に、現場での品目追加やレイアウト変更に伴う再学習・再設定のオーバーヘッドを大幅に抑制できる点がエンジニア視点での大きなメリットと言える。タスク分解ロジックと実行層を分離したエージェント指向設計により、多様なハードウェアへの横展開やアルゴリズムのモジュール差し替えも容易になると推測される。
課題となるのは、シミュレーション空間から実環境へ移行する際のドメインギャップ(Sim2Real)の克服だ。センサノイズや物理的な摩擦・干渉といった非決定的な要素に対し、エージェントがどこまで堅牢な推論をリアルタイムに維持できるかが実装上の不確実性として残る。
両社は今後、シミュレーションで得られたエージェントモデルの実環境適用を進め、実データに基づくパイプラインの最適化を図る構えだ。