2026年5月26日、日本のロボットベンチャーであるクフウシヤは、経済産業省の廃炉補助事業に採択されたと発表した。高線量環境下で自律稼働するフィジカルAIロボットの開発に着手し、過酷現場の遠隔作業を支える。
高線量の過酷環境を自動化 未知の障害物もAI自律判断で克服
経済産業省の令和8年度「廃炉・汚染水・処理水対策事業費補助金」における第三次採択結果を受け、ロボット開発を手掛けるクフウシヤが本格的な実証研究へ乗り出すことになった。
同社が推進する「過酷環境下の遠隔作業におけるフィジカルAIを搭載したロボット活用技術の開発」プロジェクトは、東京電力福島第一原子力発電所をはじめとする高放射線エリアでの実用化を標榜している。
現場は原発事故の影響から設備の損壊状態が不透明な場所が多く存在し、人による立ち入り作業には甚大な放射線被ばくリスクが伴う現状がある。
これまで主流だった遠隔操作は、複雑な地形や障害物へ適応するために熟練オペレータの高度な操縦力へ依存せざるを得ず、現場導入に向けた事前準備の重さが深刻な課題とされてきた。
今回提示された手法の要は、AIが周囲の視覚・空間情報を直接理解して運動へと還元する「フィジカルAI)」の全面的な導入だ。
クフウシヤは深層強化学習や模倣学習を実装した双腕アームや四脚ロボットなどを活用し、人間が立ち入れない過酷環境でAIが現場の認識・判断・作業支援を一貫して担うシステムの実現を目指す。
習得困難な技術のデジタル化と安全確保 ロボット現場実装の課題も
今回の取り組みは、作業員の被ばくリスクを低減させるだけでなく、廃炉作業の効率を向上させる大きな足がかりになると目されている。
熟練オペレータの経験則や判断ノウハウをAIモデルとして再現できれば、要員不足に悩む危険作業の省力化が可能になり、事前準備にかかる工数も劇的に縮小する見込みだ。
さらに、福島ロボットテストフィールドをはじめとする模擬環境での実験を通じ、研究室レベルの先進技術を泥臭い現場課題へ直接適応させるプロセスそのものが業界の先行モデルとなる可能性が高い。
ロボットの知能化は、原子力分野にとどまらず、災害救助や危険物処理といった過酷なフィールド全般へ水平展開できるポテンシャルを秘めている。
ただし、予期せぬ機器不具合や強烈な放射線による電子部品の誤作動など、物理的な障害への耐性をどう担保するかというハードルは残されたままである。
フィジカルAIの現場適応には高度な安全設計と多層的なリスク管理が必須であり、実際の過酷環境でどこまで実効的な動作精度を維持できるかが普及の鍵を握るだろう。