教師不足に挑む「メガスタ」、オンライン授業で教育格差の是正へ

株式会社バンザン（本社・日本）は、2025年4月3日より、教師不足が深刻化する国内の教育現場に向けてオンライン授業サービス「メガスタ」の提供を開始した。双方向型のライブ授業を軸に、質の高い教育を遠隔で実現する新たな試みが始動している。

全国で進行する教員不足、「遠隔ライブ授業」で学校現場を支援

2021年時点で全国の小中高における教員不足は約2,500人にのぼり、とくに地方では深刻な課題とされている。文部科学省の調査に基づけば、この傾向は今後さらに悪化すると予測されており、学校現場の教育の質にも影響が及びつつある。
こうした状況下で登場したのが、株式会社バンザンが展開するオンライン授業サービス「メガスタ」だ。

同サービスは、主に学校、通信制高等学校、塾・予備校といった教育機関を対象に設計されている。
最大の特徴は、首都圏に住む講師陣によるライブ形式のオンライン授業を採用している点にある。マイクと画面共有によるリアルタイムの双方向コミュニケーション（※）を活用することで、物理的な距離を超えた指導を実現している。

「メガスタ」には、大学生からプロの教育者まで約4万人の講師が登録しており、多様なバックグラウンドをもつ人材が授業を担っている。また、独自のオンライン指導メソッドに加えて、AIによる授業の採点機能を導入することで、授業の質を可視化し、一定の水準を保つ仕組みも整っている。

対象は小学生（中学受験を除く）、中学生、高校生で、1クラス5人以上から利用が可能。学習塾や予備校のカリキュラムにも柔軟に対応できる設計となっており、必要に応じてカスタマイズされた個別指導も提供できる体制が整っている。
教師確保が困難な教育機関にとって、有効な支援手段となり得る。

※双方向コミュニケーション：講師と生徒が一方通行ではなく、リアルタイムで質疑応答や意見交換ができる授業形式。

AI×教育の融合が拓く未来、地方の教育格差解消への一手となるか

メガスタが目指すのは、単なる「授業の提供」ではない。
教育の質と公平性、すなわち教育格差（※）の是正に本格的に取り組む構えを見せている点が、他のオンライン学習サービスと一線を画すポイントだ。
特に地方における人材不足や進学実績の地域差といった課題に対し、遠隔から都市部の教育リソースを提供できることは、戦略的な意義を持つことになるだろう。
一方で、オンライン授業特有の課題、たとえば通信環境や生徒の集中力維持といった問題も依然として存在する。

それでも、首都圏のリソースを全国へと分配するこの仕組みは、長期的に見て地域間の教育機会の不均衡を是正する有力な手段となるだろう。

現代のビジネスシーンにおいても注目されるAIと教育の融合が、いよいよ公教育の現場にも本格的に浸透し始めたのではないだろうか。メガスタがもたらす教育インフラの新潮流は、今後の教育政策やEdTech市場（※）全体に対しても大きな波及効果を生むことが期待される。

※教育格差：地域や家庭の経済状況、学習環境などにより、子どもたちが受けられる教育の質や進学機会に差が生じる現象。

※EdTech市場：「Education（教育）」と「Technology（技術）」を組み合わせた分野で、ITやAIなどの先端技術を活用して教育サービスを提供する市場を指す。具体的には、オンライン授業、学習アプリ、AI教材、学習管理システム（LMS）などが含まれる。