教育における生成AI活用を支援するポータルサイト「Manabi AI」正式版公開

2025年3月31日、公益財団法人東京財団は、教育分野における生成AIの利活用を支援するポータルサイト「Manabi AI(まなびあい)」の正式版を公開した。
学習者・教員・保護者それぞれの視点に応じた情報を集約し、国内の教育現場におけるAI活用を後押しする試みとして注目されている。
三者の立場に応じたAI活用事例を体系化 教育現場の「今」に応える設計
「Manabi AI」は、東京大学の吉田塁准教授による研究プログラムを基盤に、東京財団が構築した教育特化型ポータルサイトである。
生成AIの活用に関する基礎知識から具体的な導入事例までを網羅し、教育現場におけるAI利活用の実践を支える役割を担っている。
特筆すべきは、学習者・教員・保護者という三者のニーズに応じた情報構成である。
教員向けには、授業内でのAIツール活用や校務の効率化を支援する事例が紹介されている。学習者にとっては、探究活動や創作に生成AIを応用する方法が示され、保護者には家庭学習をサポートする実用的なコンテンツが用意されている。
加えて、プロンプト設計の基礎や各種AIサービスの比較情報も提供されており、AIリテラシーの底上げを図る構成となっている。
毎月更新予定の連載記事では、教育分野における生成AIの最新動向が紹介される見通しだ。
知識を一方的に提供するのではなく、現場からの投稿やフィードバックを取り入れる参加型の仕組みも備えられており、サイトは今後も進化していくことが想定される。
参加型情報基盤としての可能性と今後の展開
前述のとおり、「Manabi AI」は、ユーザーによる情報投稿とフィードバック機能を備えた構造を持つ。これにより、教育現場からの実践的な声がコンテンツの改善に反映され、より多様な利用事例の蓄積が期待できる。
資料集やイベント情報も整備されており、生成AIに関する知識と実践をつなぐ「ハブ」としての役割が明確になっている。
今後はツールの使い方にとどまらず、生成AI活用における倫理的課題や評価手法に関する情報も追加される可能性がある。
また、自治体や教育委員会との連携による地域事例の可視化も視野に入るだろう。
技術活用に慎重な教育界において、実例と知見を共有する仕組みは信頼の形成に資すると思われる。「Manabi AI」は教育×生成AIの実装を現実に変える、実用的かつ信頼性の高い基盤として注目できる。