国内初の感性AI×広告サービス「Trig’s」と連携、新たな屋外ビジョン広告が新大久保で配信開始

株式会社ケシオンは2025年3月31日、自社が保有する屋外ビジョン広告(OOH)において、株式会社ソケッツが展開する「感性AIデータ」を活用した広告サービス「Trig’s(トリグス)」と連携した新たなデジタルOOH(DOOH)の提供を開始すると発表した。視認者の心情に応じてAIが広告を選定するという新たな配信手法に、関心が集まっている。
感性データで広告を最適化、新時代のDOOHが新大久保から始動
配信場所に選ばれたのは、カルチャーの発信地として注目される東京の新大久保である。
第一弾として、駅前にある「新大久保アンニョンビジョン」にて、「Trig’s連携広告配信サービス」の運用が開始された。
「Trig’s」は、インターネット上のコンテンツ閲覧履歴などをもとにAIがターゲットの感性価値を分析し、広告素材が持つ感性価値と照合して最適なマッチングを行うPMP(※)広告サービスである。
感性AIデータを活用し、よりパーソナルで共感性の高い広告配信を実現する点が特長だ。これをDOOH分野に応用することで、デジタル(PMP広告)とリアル(DOOH)を融合した新たな配信モデルが誕生した。
使用される感性AIデータは、株式会社ソケッツが独自にAI分析と感性辞書を活用し、広告商品や生活者の「潜在意識」「深層心理」をデータ化したものであるという。
これまでのDOOHでは、「人流データ」や性別・年齢などの「属性データ」に基づいて広告をプランニングすることが一般的だったが、本サービスではこれらに加えて、ターゲットの「感性」に着目した広告配信が行われるという。
具体的には、「Trig’s」が保有する1,000種以上の感性データをもとに、ターゲットの感情や価値観を分析し、それに最も合致した広告をリアルタイムで選定・表示するという。
これにより、従来の一方向的な情報提供から一歩進み、ブランド認知やメッセージの訴求力を一層高める効果が期待されている。
※PMP(Private Market Place):特定の広告主と媒体社のみが参加できる非公開型のデジタル広告市場で、ターゲティング精度とブランド訴求力の両立を目的としている。
感性データで「記憶に残る広告」へ、今後の展望と課題
本サービスは、今後のDOOH市場における大きな転換点となる可能性を秘めているだろう。
視聴者の感情や深層心理に基づいた広告配信が広がれば、単なる視認率だけでなく「記憶に残る広告」を実現できる土台が築かれるかもしれない。
一方で、感性データという極めて主観的な要素に依存するため、ターゲットの心情が正確に把握されないケースも起こり得るだろう。その結果、的外れな広告が表示され、逆に違和感を与えてしまう可能性もある。
また、感性分析のベースとなるユーザーデータがどのように収集・処理されているのかについて、透明性が求められる可能性もある。プライバシーへの懸念は、今後の普及を左右する要素となり得る。
現在は新大久保というトレンド発信地での試験導入にとどまっており、異なる地域特性にどこまで対応できるかが課題となりそうだ。今後は、エンタメ・観光など特定領域への応用も模索される可能性もあるだろう。