キンドリル、生成AIでFAQを自動生成 14カ国語に対応し顧客体験を強化

2025年4月7日、キンドリルジャパンが生成AIを活用したFAQ自動生成システムの提供を開始した。
14カ国語対応やクラウド管理を通じて、顧客体験とコンタクトセンターの品質向上を図る狙いだ。
自動生成と多言語対応でFAQ作成を効率化、クラウドと品質管理で信頼性も向上
キンドリルジャパンが提供を開始した新システムは、生成AIの活用によりFAQの作成を自動化することに成功している。
既存のマニュアルやナレッジベース、テキスト化された通話ログなどをもとに、質問と回答を同時に生成する仕組みだ。
加えて、最大30件のFAQを一括生成し、14カ国語に対応する点はグローバル対応を進める企業にとって大きなメリットとなる。
生成されたFAQは、他の外部システムとも容易に連携可能で、社内外の情報共有においても利便性が高い。
さらに、FAQの品質管理機能も備えており、管理者が内容を簡易に確認・修正できる設計だ。
同時に類似FAQの表示も行われるため、情報の重複や混乱を防ぐことができる。
キンドリルはこれまでも、AIオペレーターやチャットボットといったソリューションを通じ、コンタクトセンターの自動化・効率化を進めてきた実績がある。
今回発表されたFAQ自動生成システムは、それら既存施策と補完関係にあり、さらに多層的な顧客支援を可能にする点で注目に値する。
実際に想定されている活用シーンとしては、顧客からの問い合わせ対応に留まらず、社内のナレッジベース構築や教育・トレーニング、マーケティング施策の情報整理にも波及する可能性がある。
特に、FAQの多言語対応という点は、企業が海外展開を加速する際の言語障壁を下げる技術的基盤として期待されるだろう。
既存のAI活用を強化する位置づけ、今後は社内外のナレッジ基盤構築にも期待
キンドリルが発表したFAQ自動生成システムには、複数の明確なメリットがある。
まず挙げられるのが、FAQ作成業務の大幅な効率化だ。
従来、人手で行われていた質問と回答の整理を生成AIが担うことで、工数削減とスピード向上が実現するだろう。
さらに、既存のナレッジや通話ログといった企業内資産を活用する点も合理的であり、無駄のない情報活用モデルと言える。
一方、生成AIの導入が進むにつれ、「どのように人間が介在すべきか」という視点が重要になってくるだろう。
完全自動化による品質の低下や、利用者との距離感の拡大を防ぐために、あえて人のレビューを挟む設計や、コンテンツのパーソナライズ機能などが求められるようになると考えられる。
キンドリルの取り組みは、AI技術の実用段階における一つの指針として注目されるべき事例だ。
将来的には、FAQ生成の自動化にとどまらず、ユーザーの質問傾向を学習しながらFAQ内容を動的に最適化していくような機能拡張も視野に入る可能性がある。
今後、社内外のナレッジ基盤としての存在感を高め、企業全体の情報資産の活用度を引き上げる中核ツールとして進化していくだろう。