梶裕貴プロデュース 「梵そよぎAI」が8月末終了 進化続くAI会話技術の今

2025年4月30日、人気声優・梶裕貴がプロデュースしたキャラクター「梵そよぎ」と会話できるアプリ「梵そよぎAI」が、2025年8月末をもってサービスを終了すると公式に発表された。
「理想形のズレ」で幕引き、AI×声優の挑戦が直面した限界
「梵そよぎAI」は、ユーザーが人気声優・梶裕貴が演じるキャラクターとリアルタイムで会話を楽しめるAIアプリとして、2024年7月にリリースされた。
AI音声合成と自然言語処理(※1)を融合させた設計により、単なるボイスアプリを超えた“キャラクターとのコミュニケーション”体験を提供する点が特徴だった。ファンにとっては、憧れの声で語りかけてくれるキャラクターとの時間は、極めて没入感の高いものであった。
しかし2025年4月30日、運営側は公式にサービス終了を発表。終了日は8月末とされ、その理由には「AIとの向き合い方、ユーザー様との向き合い方において、運営元と弊プロジェクトが目指す理想形にズレが生じた」と説明された。
サービス開始から1年での終了は残念であるが、これは今後の同分野の指針となる実験でもあったと考えられる。
※1 自然言語処理:人間の言葉(自然言語)をコンピュータが理解・処理できるようにする技術。AIによる会話や文章生成などに応用されている。
類似アプリへの期待と、AI会話技術の今後の進化
「梵そよぎAI」が閉じる一方で、AIキャラクターとの会話サービスは市場として依然として拡大傾向にある。特にエンタメ分野では、声優の個性やキャラクター性を生かしたアプリが注目を集めており、今後も他の声優やIPをベースとした新規アプリが登場する可能性は高い。
また、AI技術自体も進化を続けており、生成AIや感情解析(※2)の精度が向上すれば、より人間に近いキャラクターとの会話が可能になると予測される。
ただし、その一方でユーザーの感情に寄り添う「共感性」や「自然な返答」の再現には、依然として開発のハードルが残る。
梶裕貴のような表現者が新たなプロジェクトを展開することで、ファンとのつながりを深める新しい手段が模索されることが期待される。
今回の試みは一度幕を閉じたが、これは新たな挑戦への第一歩であると考えられる。
※2 感情解析:文章や音声から話者の感情や意図を推測するAI技術。カスタマーサポートやバーチャルキャラクターへの応用が進んでいる。