日本のスマートホーム市場は遅れている　市場促進と新技術導入で広まるのか

日本のスマートホーム市場は、2024年に101億2,000万米ドルと推定され、2029年には195億7,000万米ドルに達する見込みである。この期間中の年平均成長率（CAGR）は14.10%と高い成長が予測されている。
さらに、2030年には市場規模が約1兆3,440億円に達するとの予測もあり、2019年度の4,320億円から大幅な増加を示している。

普及の遅れの原因はサービス提供方法　省エネ家電と高齢化社会が市場促進か

日本はアメリカや中国と比較してスマートホームの普及が著しく遅れている。
特に、メーカーごとに異なる機能やアプリケーションが存在しているため、互換性の欠如が大きな課題である。シームレスなサービス提供が難しくなっているため、スマート家電の所有率は約13%にとどまり、アメリカや中国の80%以上という高い普及率と大きな差がある。（※）

市場成長を促進する要因としては、エネルギー効率の向上と高齢化社会への対応が挙げられる。再生可能エネルギーの利用促進に伴い、スマートホーム技術はエネルギー管理の効率化に寄与している。現在日本では、スマートエネルギー管理システムの「Nature Remo」、日本の大手家電メーカーのスマート家電が存在している。

また、高齢者の生活支援や見守り機能としての需要も増加しており、見守りサービスや健康管理サービス、リモート医療サービスなど、生活の質を向上させる手段として注目されている。

新たな技術の導入で利便性とセキュリティ向上なるか

CES 2025では、スマートホーム機器の相互運用性を向上させる「Matter」規格に関する多くの新しい製品や技術が発表されている。「Matter」を通じて、異なるメーカー間のデバイスでもスムーズな連携が可能となり、ユーザーにとってより利便性の高い環境が整うことが期待されている。これらの技術進化がスマートホームの普及を加速させる可能性がある。

日本の消費者はスマートホームに対して「コストが高い」という印象を持つ一方で、利便性やセキュリティ向上への期待も強い。特に防犯機能や省エネ効果への関心が高く、今後の市場拡大にはこれらのニーズに応える製品開発が重要となる。

日本のスマートホーム市場は成長の余地が大きいものの、普及の遅れや技術的課題が依然として存在する。しかし、エネルギー効率化や高齢化社会への対応といった社会的ニーズ、新技術の導入により、今後の市場成長が期待される。
スマートホーム市場の今後の展開に注目したい。