Informatica、CLAIRE AIによるクラウド統合とMDM機能を強化 AI主導のデータマネジメントを推進

米Informaticaは2024年4月2日、AIエンジン「CLAIRE」を活用した新たなクラウドインテグレーションおよびマスターデータマネジメント(MDM)機能を発表した。これにより、企業はAI活用の取り組みをより迅速かつ的確に推進できるようになる見通しである。
AI「CLAIRE」による機能強化
今回Informaticaが発表した機能強化は、同社のIntelligent Data Management Cloud(IDMC)に搭載されたAIエンジン「CLAIRE」によって実現されるものだ。
CLAIREは、メタデータを基盤としたインテリジェントな自動化を提供するエンジンであり、企業内外のデータ資産の統合と管理をAI主導で最適化する。
なかでも注目すべきは、CLAIRE CopilotとCLAIRE GPTの導入である。
Copilotは自然言語処理(NLP)を駆使して、複雑なデータパイプラインやアプリケーション統合の自動生成を支援し、従来手作業が求められていたプロセスの大部分を自動化する。
特にiPaaS(※1)向けに提供されるCLAIRE Copilotでは、対話型のインターフェースを通じて非エンジニアでも直感的な操作が可能となる。
一方でCLAIRE GPTは、会話型AIモデルとして、ユーザーの検索行動やメタデータ探索を支援する。
これにより、膨大なデータの中から必要な情報を効率的に抽出でき、部門間の情報共有や理解も円滑になる。
また、生成AIレシピの導入によって、統合プロセスの標準化と迅速化が進み、Amazon BedrockやAzure OpenAIといった主要クラウドとの親和性も確保されている。
※1 iPaaS(Integration Platform as a Service):複数のクラウドアプリケーション間のデータ連携を実現するプラットフォーム。近年、業務のSaaS化に伴い需要が高まっている。
導入容易性とビジネス成長を両立
Informaticaは、非構造化データの活用にも力を入れており、新たなAIベースの機能では、PDFなどの非構造データを自動的に解析・分類・変換できる。
これにより、従来活用が難しかったデータソースからも実用的な情報を抽出可能となり、企業の意思決定精度が向上すると考えられる。
さらに、CLAIRE GPTのMDM(※2)領域への統合は、手作業の削減と正確なデータ構築に大きく寄与する。
ユーザーは自然言語で情報を検索でき、構造化・非構造化データの横断的な理解が可能になる。
加えて、データマーケットプレイスへのアクセス性も向上し、部門横断でのデータ利活用がより現実的な選択肢となるだろう。
一方で、CLAIREの判断はメタデータを基盤にしているため、その入力データが偏っていたり、不完全であった場合、AIの推論や出力も同様に誤った方向へ誘導されるリスクもある。
活用には良質なメタデータが必要だろう。
今後、生成AIとNLP技術の高度化が進めば、Informaticaが提供する統合・管理基盤はさらに汎用性を高め、企業におけるAI活用のハードルを下げるものとなるだろう。
※2 MDM(マスターデータマネジメント):
企業の基幹データを一元管理する手法。製品、顧客、取引先などの情報の重複や不整合を防ぎ、業務効率化と意思決定の質向上を目的とする。