順天堂大学と日本IBM、退院患者の転院支援を推進　「PFM AIマッチングシステム」

順天堂大学と日本IBMは、退院患者が最適な医療機関に転院できるよう支援する「Patient Flow Management（PFM）AIマッチングシステム」の構築および運用に向けた取り組みを開始した。

このシステムは、患者の個別ニーズに応じて医療機関を紹介し、地域医療の質を向上させることを目的としている。

超高齢社会が進み、適切な医療提供体制の構築が急務となる中では、こうした技術の導入は重要な取り組みといえる。

PFM AIマッチングシステムの概要

PFM AIマッチングシステムは、患者の病名や住所といった個人情報をもとに、AIが最適な医療機関を自動的に提案する仕組みだ。電子カルテのデータを活用し、生成AIによって効率的に転院先を提示する。

また、医療機関までの移動経路や手段を地図上に表示することで、通院時のイメージがより具体的に理解できるよう配慮されている。

さらに、看護師やソーシャルワーカー間で患者情報をリアルタイムで共有できるため、業務効率が向上することも期待されている。患者の満足度を高められると同時に、医療従事者の負担軽減にもつながる見込みだ。

今後の展望

日本は世界的にも類を見ない超高齢社会に突入しており、医療資源の適正配分が課題となっている。地域包括ケアシステムの整備が求められる中で、入院前から退院後までを一貫して支援するPFMの取り組みが注目を集めている。

今後の展開として、PFM AIマッチングシステムへの医療機関登録を拡大する方針がある。
訪問リハビリテーションや通所リハビリテーション施設の登録を充実させることで、自宅療養患者向けのサービスが強化されるだろう。

また、適切なタイミングでの退院とその後の医療機関へのスムーズな移行が促進されることで、入院費用の削減にも寄与できるのではないかと期待されている。

これらの施策により、患者が必要な医療を継続的に受けられる環境が整備され、地域医療の質の向上がさらに進むだろう。